アタシが苦手な野郎共【∞】祭 (ページ43)

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【ホワイトデー】弍ページ43

「さて、と」

三種類のたい焼き食べ終わってもまだ野郎共は姿を見せない。

時間も日付も間違えてないよなーってLINEのトーク画面を見直す。

……うん、間違ってない。

えー、なんでだろう。

アタシの伝え方が変だった?

それとも、知らない間に来られないって連絡してた?

だったらアタシもう帰ってよくね?

「っこいしょっと」

ゴミ箱にたい焼き包んでた紙放り投げて、持ってきてた紙袋引っさげて公園をあとにする。

どうすっかな。帰ろっかな。

いつまで経っても来ねぇ野郎共が悪いんだし。

うんよし、そうしよう。帰ろ帰ろ。

道の脇に立ってた電柱に寄りかかって、グループで帰る旨を伝える。

そしたらつくわつくわ既読の連続。

弁解の言葉なんて見たくなくて、すぐに電源切った。

知らね。

せっかく返すもの持ってきたのに。

アタシだけで食ったろ。

＿＿＿＿＿＿プップーッ

「……ぁん?」

クラクション鳴らされたと思えば、歩いてた歩道の隣にピッタリとついた黒塗りのリムジン。

スモーク貼ってるガラスに見たことのあるエンブレム。

ちょっと久しぶりな、あの人の家の車だった。

『久しぶり。どうしたの? こんな所で』

「おう。待ち合わせしてたんだけど、ドタキャン食らって帰ろうとしてるとこ。そっちは?」

『ホワイトデー。いっぱい色んな人から貰っちゃったの。よかったらいくつか貰ってくれない?』

「お高そうなもんばっかりでアタシには似合わねーよ」

『そんなことないわよ。正直、似たようなものばっかり貰って飽き飽きしてんのよね。同じの持ってるし。

ねぇ、よかったら家に来ない? ドタキャンされてそのまま帰るなんて、もったいないわよ』

「えー……じゃあ、そうすっかな。

倉子、頼んます」

倉子「いいわよ。柘植、A乗せてあげて」

『かしこまりました、お嬢様』

相変わらずイケメンの執事の柘植さんにエスコートされて、いつも変な気分になる。

こんなVIP扱いされたことそうそうないからな。

一番後ろの席には山積みになったプレゼントが積まれてる。

聞けば、今まで貢がれた彼氏やら友達やらから貰ったんだと。

倉子「ヴィトンのバッグにロレックスの時計。キャメルにマリークワント。似たようなドレスやアクセサリーばっかり。こんなもんで女をオトそうなんて、たかが知れてるわね」

「どんだけ貢がせてんだよ!? つか、何人にバレンタインあげたんだよ!?」

倉子「ざっと30はいるかしら。でもそれ以上に貰ったわ」