アタシが苦手な野郎共【∞】祭 (ページ12)

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【Christmas】弍ページ12

愛紗「A、今年も家の手伝いするの?」

大掃除の真っ只中。

ベランダで窓掃除してると、教室からアズが乗り出して聞いてきた。

「毎年通りだよ」

愛紗「つまんなそ。ちなみに私はクリスマスイブは翔とのデートだけどね♡」

「あっそ」

挟みかねない勢いでアズをシャットダウン。窓を完全に閉めて洗剤を吹きかける。

あ、このワイパー壊れてるわ。チッ

愛紗「ちょっと!! 閉めないでよ!!」

「そのまま聞いてたら掃除が進まん」

愛紗「作業しながらでいいでしょー!!」

今度は掃除してない側の窓を開けてきた女。洗剤吹っかけてやろうか。

愛紗「もー、せっかくクリスマスはA誘おうと思ったのにー!!」

「悪いな。アタシは珠ノ屋家に行けるような一張羅は持ち合わせてない」

愛紗「いつもカジュアルで来てるじゃーん…いつもジャージじゃん!!」

「クリスマスの珠ノ屋家はオールスター勢揃いだろ?
なおさら行きにくいわ」

愛紗「だからじゃん!! 会いたがってるんだよー? みんな」

「嫌だね」

忘れもしない、幼稚園の頃の珠ノ屋家。

クリスマスの前日に招待されて、緊張しながら菓子折り持ってったの覚えてる。

当時のアタシにあの家はとてつもなく大きく見えて、周りの執事さんやらメイドさんやらが怖くて怖くて。

おばさんとおじさん、それと年離れた兄さんは会ったことあったから親しく話してたんだけど、

アタシ以外にも取引先の社長とか婦人とか、その息子や娘も招待されてて。

おじさん、おばさんはたっかいスーツ着た大人達に囲まれてて。

兄さんも、同い年くらいの女の人と話してて。

アズは令嬢とかお坊ちゃんとかと楽しげに話してて。

アタシ、何のためにここ来たんだって悲しくなって。

珠ノ屋家のみんなが別世界の人に見えて。

誰にもなんにも言わず、一人で帰ってきたんだっけか。

なんにも食べてなくて、家で豚の角煮ひたすらかっ込んだ。

結依は友達の家に遊びに行ってて、美味しいローストビーフご馳走になったんだと。

それから毎年、クリスマスだのなんだのって日は家の手伝いするようになった。

んで、結依は毎年友達の家でクリスマスパーティー。

いい感じの需要と供給だわな。

愛紗「もうっ。パパとママ、すっごく楽しみにしてたのに!!」

「毎年言ってるけどよ、ウチだって暇じゃねぇんだわ。

誘うなら他あたれ、他」

愛紗「他ぁ? なにぃ、横山とか村上とか誘えばいいの?

やだぁ、それならA誘うわ」

「断固拒否」