アタシが苦手な野郎共【∞】弐 (ページ45)

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厄介な女ふたり M.S ページ45

＿＿＿＿＿＿ガラッ

愛紗「おっはよう非リア軍勢!!」

村上「朝からケンカ売っとんのか」

愛紗「あれ、今日は早い」

村上「朝練がなくなってな。コーチがなんやぎっくり腰やらかしたんやと」

愛紗「ご愁傷様ー♪」

なんや朝からルンルンやな。

あれか、翔君と映画行く言うてたからか。

この調子やと、いつもの珠ノ屋節炸裂するな。避難しとくか。

村上「昨日の話ならヨコにせぇ。俺用事あるから行くわ」

横山「ちょっ、ヒナ!? 俺を犠牲にせんといて!?」

愛紗「早く帰ってきなさいよねー」

村上「あいあいっ」

横山「ヒナぁっ!!」

……早く戻るかっちゅーねん。

ていうか、想麻はなんでまだ来てへんのや。

さっき一緒に校門くぐるの見とったぞ。

村上「あー、想麻ぁー……」

「なんだよ」

村上「ぅおお!! びっくりしたぁ!!」

いきなり後ろから出てくるとか、幽霊か!!

背後霊か!! 脅かすなや!!

「朝からテンション高ぇな、おはようさん」

村上「お、おぉ…おはようさん…」

眠たそうな目でチュッパチャップス舐めて、大あくびするコイツは何者やねん。

3年間一緒のクラスやけど、未だ謎やわ。

どうやって気配消すねんな。

「どったよ、こんなところで」

村上「あー、珠ノ屋から逃げてんねん。昨日のノロケ聞かされそうでな」

「アタシはもう腹いっぱい」

村上「散々聞かされたんやな……」

それこそご愁傷様やわ。

「あ、なぁ。リスバンのデザインできた」

村上「ホンマか! ちょお、見せてみぃや」

「あー、ちょい待て。んーと…」

黒革の鞄をゴソゴソして、取り出したのは真っ赤なクリアファイル。

それを受け取って、中にあるB5のルーズリーフを取り出した。

描かれてたデザインはというと……

村上「……想麻」

「ん? なに」

村上「これ……虫、か?」

「は? 龍だけど」

村上「いやいやいや!! こんなんカナヘビにしか見えへんわ!!」

「はぁ!? 失礼な! どっからどう見ても龍だろ!! ほら、とぐろ!!」

村上「龍はとぐろ巻かへんがな!!」

忘れとった。コイツすばる並みに絵がヘタクソなんやった…

前にドラえもん描いてて頼んだら、なんやよう分からへんタヌキ描きよったし。

二度目にチャレンジしてもろうたら、なんかドラえもんの亡霊みたいなん描いたし。

三度目の正直でドラえもんの絵描き歌歌いながら描いたら、やけに脚が細いモデル体型のドラえもんが産まれた。

もはや天才やで、コイツ。

画伯2号や。

「龍だろ、これは」

村上「カナヘビや」