アタシが苦手な野郎共【∞】弐 (ページ40)

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ソース文化は素晴らしきページ40

「よし、次来たときはお前買うからな」

安田「よかったねぇ。こんなに素敵なおねーさんに買われんねんで」

アタシの趣味じゃないと思ってたこの店には、何気気に入るような品がいくつかあって。

その中にある、南国を思わせるイラストの機能的なケースに狙いをつけた。

iPhoneケースにICカード入れられるとか、画期的だろオイ。

しかも鏡もついておよそ3000円。

ありがたい。時代の進化は素晴らしい。

「よっし、お好み焼き行くか」

安田「はぁいっ」

いざ参らん、至福の場所へ!!

「うんっまぁぁ………」

何この生地、何この豚バラ、何この増し増しキャベツ!!

メタクソ美味いんですが!?

イカ玉もキムチ玉もチーズ玉も文句ナシに旨い!!

ソースもコクがあって味が引き立つし、マヨネーズもまた合う!!

「最っ高……なに、何この美味さ!?」

安田「ほいひー♪ んっ、あっく、あくっ!!」

「水飲め水」

熱かったのか、それともむせたのか口をはふはふさせて向かいに座る安田に水をすすめる。

落ち着いたのを認めて、改めて店内をぐるりと見渡した。

あんまり広くない店で、テーブル席がせいぜい8つあるくらい。

動いてるのはおばちゃんだけで、他に従業員はいないらしい。

場所が駅前から離れた所だったからか、そんなに人はいなかった。

ていうか、ぶっちゃけ今ここにいるのはアタシ達と他校のまさに今部活帰りです!! みたいな男子が5人だけ。

そのグループが安田の肩越しに見えるから、やり取りが充分見える。

あの学ラン見たことあんなー…何高だっけ、あれ…

安田「ふぇんはい?」

「あ、悪い。なんだっけ」

安田「ぼーっとして、どないしはったんですか?
あ、あまりの美味しさにびっくりしたとか」

「んや、向こうの男子。あの学ラン見たことあんだけど、どこ校だっけーって…」

あーークソ思い出せん。この時ばかり容量不足の脳ミソを恨む。

安田「あー…霞野工業ちゃいます?」

「あー、確かそんな名前…」

だったかなぁ……

安田「もー、先輩ってば。僕が目の前におるのになんで向こうの男子見てはるんですかぁ」

「悪い悪い。どうしても気になって」

頬に空気貯めてぷくーってしてるけど、ごめん。

口の周りにあるソースとかつお節のせいで子どもにしか見えん。

「っつか口の周り拭けよ。ほら」

安田「うわっ、ソースばっかり!!」

「いやソースかかってんだからそら付くだろうよ」

安田「んむー」

手のかかるチワワ……

いや、子どもだな