アタシが苦手な野郎共【∞】弐 (ページ36)

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アズのカレシページ36

愛紗「あーあ、またやってる」

「いいから行くぞ。見てるだけで暑苦しい」

毎度の如く女共に囲まれてる横山達はほっといて、アタシとアズはさっさと女子更衣室に急ぐ。

早くしねーと3時間目のセンセー来ちまうよ。

カリカリうるさい、化学の後藤先生。

結婚できない女ってあんな人なんだな、って思わせるくらい口うるさくてガッチガチの古風な考えの人。

いっぺんガチで怒ってやりたい。あの五十路(いそじ)め

『愛紗!! 想麻さん!!』

愛紗「あ、翔～っ!!!」

「んぉ、櫻井じゃん」

向こうから手ぇ振って呼んできたのは、言わずもがなアズの彼氏である櫻井翔。

生徒会の副会長やってて、確か親戚にこの学校の理事がいるっつってた。

頭めちゃくちゃ良くて、入学式に生徒代表で式辞読んでたっけか。

村上と同じサッカー部で、生徒会の仕事もあるからって副部長やってんだと。

アズは納得いってないみたいだけどな。

愛紗「どうしたの?」

櫻井「ちょうど飲み物買いに行こうと思ってて。愛紗のクラス、体育だったんだろ? なんか奢るよ」

愛紗「え、いいの!? ありがとう翔～」

「1回断るってことを覚えろよ、お前な」

櫻井「想麻さんも、奢るよ」

「んや、アタシはいい。2人で行きな」

櫻井「そう?」

「いいからちゃっちゃと行け。先戻るから」

愛紗「ねっ、ああ言ってくれてるんだし」

櫻井「うん、じゃあまたね。想麻さん」

「はいよ」

仲良く腕なんか組んじまってよ。あんな2人についてったらアタシが邪魔だろうが。

せいぜいイチャこいてやがれ、バカップルども。

「………アタシは戻るか」

早くこの汗なんとかしたい。

ジャージがへばりついてベッタベタすんだよな。

＿＿＿＿＿＿ガラッ

愛紗「Aーーっ!!」

「はいおかえり」

やけにハイテンションなアズは受け流すに限る。

彼氏自慢しか言わねぇんだ、この口。

愛紗「聞いて!! 翔ったら私が好きなレモンティー奢ってくれてね、それで今からの授業が憂鬱なのって言ったらなんて言ってくれたと思う!?」

「知らね」

愛紗「『そんな顔するなよ、放課後のデートのために頑張ろう?』って……

きゃーーっ!! 私もうダメ!! キュン死!! 萌えちゃうきゃっはー!!」

「どっか行けふなっしー」

んで跳ねんな。うっとうしい。

愛紗「なになにぃ? Aも私みたく彼氏欲しくなっちゃった?」

「いやいらねー…」

愛紗「候補あんなにいっぱいいるのに、贅沢ぅー」

「どこのどなた様のことですかね」