アタシが苦手な野郎共【∞】弐 (ページ35)

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授業中→授業後 Y.Y ページ35

村上「ヨコ!! 腕曲がっとるやんけ!!」

横山「ヒナが打つの速いねんて!!」

もぉー、ホンマ何やねん。あの鬼畜ゴリラ…

あんな銃弾みたいなの返されて、どうやれっていうねんな。

＿＿＿＿＿＿コツッ

横山「った…」

ふと、後頭部を突いた小さな痛み。

足元を見ると、今使っとるのとは明らかに違うシャトルが転がっとった。

ったく、なんやねん。どこの誰がここまで飛ばしたんや……

拾い上げたそれは、かなり強く打たれたんか穴開いたり欠けたりして、ちょっと無惨な状態やった。

いや、もうこれ使えへんのとちゃう?

よぉ打てたわ、これで。

『さっせーん、ここらでシャトル飛ばなかったー?』

横山「飛んだわ!! ほんで俺の頭に直撃したわ!!」

『へぇー、そう』

……ん?

今の声、って……

「あ、なんだ。横山かよ」

想麻かいな!?

てことは、向こうからこっちに飛ばしてきたってことやんな?

どんだけ強い力でラケット振ってんねん!!

「悪い悪い。さんきゅ」

横山「お、おぉ……」

うわ、うわ。触れた、指先触れた!!

俺の掌に指先触れた!! ちょんって!!

「んじゃあな」

横山「あ、あぁ…おん…」

ヤッバ、俺やっば。

想麻の指がちょんってなっただけで、どんだけ照れてんねん。

今猛烈に叫びたい。ほんで、熱い。

村上「ヨコーー!!」

横山「あ、すまん!!」

村上「ヨコ、今日どないしてんな」

2時間ぶっ通しのバドミントンが終わって、教室に戻る途中。

愛用しとる紫のタオルでダラッダラの汗拭きながらヒナが聞いてきた。

何がと聞かれても、もう分かっとる。

横山「んまぁー…ちょっとな」

村上「想麻か」

横山「おん。ちょんって、触った」

村上「手にか」

横山「せや。羨ましいやろ」

村上「いや、別に」

横山「んなこと言うて～、実は羨ましいんやろ? ん?」

村上「強いて言うならこのクッソ暑い状況で平然としてられんのが羨ましいわ」

横山「え?」

周りを見回すと、タオルやら制汗剤やら手に持った女子達に囲まれとった。

いつの間におったんや…

村上「さっきからおったで。お前だけや、気づかんかったんは」

横山「言えや! 周り見たらなんや暑なってきたわ!!」

想麻ショックで忘れとった。

体育の終わりは、女子達による地獄やってことを。

『村上くんっ、よかったら塩アメどうぞ?』

『横山くん、これで汗拭いて?』

『お疲れ様です! 飲み物ありますよ?』

横山「や、ごめん」

村上「スマンな、いらんわ」

男前って、辛い。