PERFECT LOSER ページ1
出会いは、映画の打ち上げだった
いや、正確な出会いは1年ほど前。
映画で一度共演した程度で、
共演といっても彼女がまだまだ無名な時で、
役でもそれ以外でも絡みはほとんどなかった
それから1年が経ち、俺の念願だった初主演映画の打ち上げ会場で、
俺の相棒役でプライベートでも食事に行くほど仲良くなった俳優仲間、圭太が彼女を連れてきた
彼女はこの一年で着々とキャリアを積み上げ、
あっという間に“今注目の新人女優”になっていた
俺も、そういえば共演したことあったなーってくらいでテレビを眺めていたのだ
「風磨!紹介するわ、A。もちろん知ってるだろ?」
なんて圭太は得意げに俺に紹介してくるが、
知ってるも何も…
「おひさしぶり」
「おひさしぶりですっ…!」
「え!?なに、会ったことあったの!?」
「うん、前に映画でご一緒させていただいたの。といっても私はホントに小さな役だったんだけどね。
菊池さんが覚えてくださっていたなんて、嬉しいです」
「そりゃあもちろん」
外面では余裕をかましているものの、正直なところ、混乱していた
この子、こんなに綺麗だったっけ?
元々小柄だからというのもあるかもしれないけど、
幼くて、ガキっぽくて、お世辞にもオシャレとは言えなかった
今では流行かつ個性的な服に身を包み、
唇はリンゴみたいな赤に染まっていた
3人で話してても気づけば意識は彼女の仕草や表情に釘付けられていて、
そのたびにお酒を煽ることでリセットをかけた
…あれ、俺、こんな子がタイプだったっけ。
俺たち3人は芝居の話や趣味の話で盛り上がり、
気づけば時計の針は頂上を越えていた
いつの間にか打ち上げはお開きになっていて、
周りには酔いつぶれた監督や先輩がいた
介抱なんて面倒なこと御免だよね、
なんて3人で小声で口裏を合わせ、こっそり店を抜け出した
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作者名:m.y. | 作成日時:2018年3月9日 10時