三つ巴の悲劇 55 ページ23
電車に乗り込んでも、山本は難しい顔をしたままだ。隣に並ぶ了平は、内心つまらないとぶすくれながらも、耳はしっかりと蘭達の会話を聞きとっていた。
「それで、沢田綱吉君て子を預かることになったんだけど……とてもマフィアのボスとは思えないんだよね」
「話だけ聞いてると、ちょっと小動物チックかも……あ、もしかして、今日の小学生集団にガキンチョがいなかったのは……」
「そ。綱吉君とお留守番だよ」
女子高生の話し声とは、なかなか目立つもので、二人が席に座り、了平が扉の側という位置でもよく聞き取れた。内容のせいで色々と不安が残るが、どうやら沢田はうまくやっているようだと安堵する。
リボーンに頼まれた、綱吉に現状を伝えるという件も、いざとなれば、蘭を介して携帯を渡してもらえばいい。まぁ、理由は……どうにでもなる。
「先輩」
了平がなげやりに自己完結すると同時に、押し黙っていた山本がようやく口を開いた。
「なっ……なんだ山本」
唐突に聞こえた冷たい声に、了平はどもりながらも平静を保つ。
「この車両の端の、ゴルフバッグを持った男と、ヘッドフォンをつけた兄ちゃん。それと、隣の車両にいるピンクのスーツのねーちゃん……尾行してます。他にもいるかもしんねーっすけど」
了平も、ここで誰を尾行してるか聞くほど馬鹿ではない。車内の広告を見る素振りで、辺りに目を走らせた。
確かに、いた。山本の言った特徴とぴったり一致する人間が。特に目立ってこちらを見ているわけではない。ただの乗客のように、平然と電車に揺られている。だがーー、
「なるほど……ヘッドフォンの奴のくるぶし、銃が仕込んである。それと、ゴルフバック。あの大きさだと、ちょうどライフルが入る」
了平は、いつかコロネロに教えられた武器の所持方法を思い出しながら、口をついて出そうになった疑問を喉に押し込んだ。なぜ、尾行者の存在、そのうえ正体にまで気付いたのか。そんなこと、聞くまでもない。山本だからだ。
「なら山本、もし俺達がここで毛利達と別れたらどうなる？」
「そりゃ、死ぬっすよ」
単純明快に答えながら、山本は笑う。その答えを聞いた了平もまた、うすく笑った。
「そうか。なら……守るしかないな」
直後、車内に響いたアナウンスと共に、蘭達が立ち上がる。明るい笑顔に戻った二人の守護者は、何事もなかったかのように彼女達の肩を叩いた。
彼らの目的地は、赤坂ショッピングモール。
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三崎 - こちらの作品も、パスを忘れたのでそのままにするつもりです。今は大変な時期ですが、二次元パワーで現実を乗り切りましょう！ (2020年4月22日 16時) (
レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
三崎 - 今は「しま」という名前で、うらみちお兄さんやら携帯獣のクロスオーバーやらpixiv投稿をしています。この三つ巴の悲劇も、もし読んでくださる方がいるなら手直ししてupしたいとも考えています。 (2020年4月22日 16時) (レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
三崎 - 現在、サイトの再開に向けて物語を進めたり（進んでない）新しい沼を探したりなどしています。もしこの場所を訪れてくださる方がまたいれば、ぜひご一報ください！ (2020年4月22日 16時) (レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
三崎 - どうも、作者です。しばらく夢と創作から身を引いていたのですが、このたび大学進学もきまり、ぼちぼち趣味を再開しています。投稿を終えてからもこんなにたくさんの方々に見ていただけて、うれしい限りです。 (2020年4月22日 16時) (レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三崎 | 作成日時：2015年7月2日 12時
