三つ巴の悲劇 47 ページ15
「すげぇんだよ！中一からスタメン入りしてて、この前の大会なんて奇跡の七打席連続ホームラン！」
「あの江古田を倒した強者の上、夏期野球部準決勝出場の唯一の中学チームを率いるメンバー！」
「俺たちも、来月奴らとかち合うからさ。どんな戦法を立てるか話をーー」
「ちょっと待った！何でその中学生野球部員と山下君が関係あんのよ！」
「確かに名前は似てるけど……っていうか、野球部員全員て……どっから出てきたのよ……」
瞳を輝かせて山本について語る、むさくるしい男子高校生達。その話しっぷりにげんなりしていたのは、待ったをかけた園子と蘭だけではない。
(……極限よかった……この高校にボクシング部がなくて)
(やべぇバレるわこれ)
今だに狸寝入りを押し通す二人もだった。だが、安堵する了平と対照的に、珍しく茫然自失の山本。当人にとっては、まさに手に汗握る状況である。
「いや、写真で見た山本武とすっげぇ似てるんだよ、こいつ」
「……それだけ？」
あっけらかんという野球部キャプテンに、蘭は眉をひそめる。慌てて弁解する野球部員達。彼らの話をつなげていくとーー、
山本武には母親がいない。だが、山下は奴に似すぎている。しかも、奴は野球のバットを学校に持ってきている。自分達は、奴が山本武の母親が離婚の際に連れて行った、山本の兄弟だと睨んでいる、ということだ。
(ーー馬鹿だろ)
山本からしてみれば、その一言に尽きる。母親なんて、物心つく前に死んでいる。しかも、自分が所持しているのは、時雨金時の代用品、山本のバットだ。
そもそも、そんなドラマみたいな偶然があると思う方がおかしいだろうに。
「……へぇ、確かに似てるわねぇ」
「ていうか、本人？」
だが、写真を見せつけられた蘭達は妙に納得してしまっていた。ちなみに、了平はといえば、薄情にも夢の世界へ旅立っている。
「わかった。昼休みにでも、さりげなく聞いてみるよ。……多分違うと思うけど」
仕方なしに頷いた蘭の一言で、やっと野球部員は散っていく。すると、ちらりと時計を見た園子が蘭に告げた。
「さて、蘭。あいつらの話聞いてたら、もう三限目が始まるわよ」
「そうねぇ、それじゃ……」
するりと腕まくりの音がして、二人は内心首をかしげる。蘭は、にやりと笑みを浮かべながら。
「お目覚めついでに、私の回し蹴りでも」
言うまでもなく、馬鹿な狸二匹はあっさり飛び起きたのだった。
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三崎 - こちらの作品も、パスを忘れたのでそのままにするつもりです。今は大変な時期ですが、二次元パワーで現実を乗り切りましょう！ (2020年4月22日 16時) (
レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
三崎 - 今は「しま」という名前で、うらみちお兄さんやら携帯獣のクロスオーバーやらpixiv投稿をしています。この三つ巴の悲劇も、もし読んでくださる方がいるなら手直ししてupしたいとも考えています。 (2020年4月22日 16時) (レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
三崎 - 現在、サイトの再開に向けて物語を進めたり（進んでない）新しい沼を探したりなどしています。もしこの場所を訪れてくださる方がまたいれば、ぜひご一報ください！ (2020年4月22日 16時) (レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
三崎 - どうも、作者です。しばらく夢と創作から身を引いていたのですが、このたび大学進学もきまり、ぼちぼち趣味を再開しています。投稿を終えてからもこんなにたくさんの方々に見ていただけて、うれしい限りです。 (2020年4月22日 16時) (レス) id: 070c92fbe6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三崎 | 作成日時：2015年7月2日 12時
