甘いお城の中で (ページ13)

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第10話銀のスプーンページ13

プリン「はい、グラスにこれ注ぐわね。」

プリンちゃんがグラスにワイン瓶の中身を注ぐ。

A「これ、ワインかな？」

プリン「ううん、ワインに見せかけたブドウジュース。アルコールは良くないと思って…」

A「そうなんだ、ありがとう。」

グラスに口をつける。

A「甘い…」

プリン「ちょっと濃かった…？」

A「ちょうどいいよ～♪」

パンを口に運んでみる。

A「…！外はカリカリしてて、中はふわふわ…焼きたてアツアツだし、おいしい！」

プリン「ほんと？Aさんの家では焼きたてのパンは出ないのかしら？」

A「うーん…パンはいつも時間がたって冷めた物しか食べたことないなぁ…うちではパンを最初に焼くみたいだから、料理が全部できた頃には冷めてるんじゃないかな？」

プリン「そうなのね…」

他愛ない話をして笑い合う。

次はスープを飲もうと、プリンちゃんが

用意してくれたスプーンを持った、その瞬間…

A「！？あつっっ！！」

いきなり感じた指の熱さに、スプーンを反射的

に落としてしまう。カランカラン、と

子気味良い音をたてて、スプーンは転がっていく。

プリン「…！どうしたの！？」

A「きゅ、急に指が…もしかして、このスプーン、銀製なの…っ？」

プリン「う、うん。そうだけど…それがどうかしたの？」

A「私、ちょっと銀アレルギーみたいなんだよね…昔から銀に触っちゃ駄目なの…っ。」

プリン「そ、そうだったのね！ごめんなさい、そんなことも知らずに…ってそんなことより、指が火傷してるわ！今すぐ冷やさないと！」

プリンちゃんが部屋を出ていく。

Aの指は、軽い火傷どころではなく触った

皮膚の部分が爛れていた。赤くなっていたし、

指も震えていた。

プリン「はい…っこれ」

プリンちゃんが指に氷の入った袋を当ててくれる。

A「ありがとう…プリンちゃん」

プリン「いいの、私が悪いんだから…」

A「そんなことないよ、偶然そうなったんだから…自分を責めないで？」

プリン「…ありがとう。でも」

・

プリン「偶然じゃなかったらどうする…？」

今のところ、プリンを悪役にするつもりはまったくないです。今回のは悪役っぽかったですが。