Book 0105 魅力 ページ7
次の日、ロボロの言った本を届けようと彼女は思い立った。10冊の本をなんとか持ち上げ、幹部の部屋があると聞いている幹部棟の方へ向かった。
「ふう。ここが、幹部棟...？」
城内でも独立した場所にあるそこは、荘厳で異様な雰囲気を漂わせている...気がした。意を決して中に入ると、そこは整理された美しい場所だった。
「きれい...。」
重い重い、と少し呟きながら歩く。廊下に人はいないが、時々見える部屋には人の名前が書いてあったのでどこが彼の部屋かは簡単にわかりそうだ。
そう思っていると、
「そんなに本を持って、どうしたんですか？」
後ろからそう声が聞こえ、本が半分ひょいと持ち上げられた。
突然の事に慌てて後ろをむくと、水色の紙にぐるぐるのメガネをかけた人が立っていた。
「すいません、ありがとうございます。」
「ええですよ。ロボロ先輩から言われてたんです。本運んで来る子がいるから手伝ってやって欲しいって。」
先輩、と言っているところを見るにこの人も幹部だろうか。人を使わしてくれるところに彼の優しさを感じた。
「それにしても...。」
「あの、どうかしましたか？」
突然彼は彼女のことをジロジロと見てきた。いたたまれなくなって彼の目を見返すと、彼はちょっと笑いながら答えてくれた。
「昨日、エミさんが会議すっぽかしたってだけでも幹部全員驚いたんです。しかも先輩によると女と一緒にいたって言うんですよ？」
何だろう、エーミール様は女の人にモテないのだろうか？失礼ながらも彼女はそんなことを考えて、自分で打ち消した。
「もう大驚きですわ。しかもロボロ先輩も印象いい子やったって言ってましたし。あのど、いえ、2人が...。」
「その、あの、」
止まらないおしゃべりに困った彼女はオドオドと視線を彷徨わせる。彼は彼女の様子を見てさらに笑った。
「ええですね、その表情。先輩が言ってたのも分かりますわ。」
可愛い、と彼は呟く。それを聞いて彼女は顔を真っ赤にした。
「あ、照れました？でも貴女に惹かれる面があるのは確かですよ。」
「余りからかわないでください...。」
更に照れてしまった彼女の方を少しみて、彼はロボロの執務室の扉を開けた。
「連れてきましたよー！」
声に顔を上げたロボロは見た光景に目を丸くした。一方は顔を真っ赤にした彼女。一方はニヤニヤと笑いながらこちらを見る後輩。
「チーノ、お前何したんや！ごめんなあAちゃん、うちのが何か変な事言ったか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：六連星 | 作成日時：2019年8月17日 23時
