【wrwrd!】間蝶の君 (ページ3)

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Book 0101 驚愕ページ3

「こんにちは、所属と階級、名前をどうぞ。」

「所属は...で階級は...。」

「ではこのカードをどうぞ。」

おそらく今日最後になるだろう来館者を処理してふう、と一息つく。夕方になりこの軍部図書館を使用する者はグッと減った。

チラホラと見える人々を横目に見ながら、彼女はボーッと軍学校卒業してから今までについて思いを馳せていた。

「あ、あのー。」

少し時が経っただろうか。一人の男が図書館を訪れた。本来、来館者を処理するはずの彼女は何かを考えており、彼に気づかなかった。

話しかけてみるも全然気づく気配がない。女性との会話になれていない彼は、勇気を振り絞って彼女の視界の前で手を振った。

「あのー、すいません。」

「あっ」

突如として現れた手に驚いた彼女は、その先にいた彼をみてさらに驚いた。時計を見ると午後7時。こんな時間に人がやって来るとは露ほども思っていなかった。

「す、すいません。ボーッとしていて。あの、所属と階級、お名前をどうぞ。」

直後の答えに、彼女はさらに驚くことになる。

「幹部のエーミールです。」

何と彼はこの図書館の管理者であり、この国の幹部だったのである。

「幹部様でしたか！ほんとに申し訳ございません、無礼な態度を...。」

軍学校を卒業したばかりの彼女は幹部を全員把握しているわけではなかった。自分の取ってしまった行動に、冷や汗が流れる。

「いえ、いいんですよ。新人さんでしょう？」

それでも彼、エーミールは優しかった。来館者が彼であったことにホッと胸をなでおろし、彼女は無礼なことをした罪滅ぼしにと、彼女は手伝いを申し出る。

「本当に申し訳ございませんでした。その、ところで、お探しの本は何でしょうか？」

「探して頂けるんですか？」

ほんの少しの提案だったのに、エーミールは嬉々として返事をした。普段は受けない女性からの好意に喜んだらしかった。

「はい、先程から失礼な事ばかりしてしまっているので...。」

「そんなに気に病むことでもないと思いますが...。では、お願いします。」

ニコニコと案内を待っているエーミールを失礼ながらも可愛いと思いつつ、彼女は案内を始める。ただ、大事なことを聞いていなかった。

「お探しの本はなんですか？」

問われたエーミールはハッとして答える。

「あ、そういえばまだ言ってませんでしたね。

『スパイ』についての本を探しているのですが。」

答えを聞いた瞬間、彼女は愕然とした。