The breath, mother. ページ4
「ただいま」
あの後、学校が終わると僕は直ぐ家の近くまで走って帰って行った
普段なら家に帰ったら直ぐ着替えて八百屋さんのお手伝いをするのだが「今日は疲れてるだろうから休みなさい」とおじさんが気を利かしてくれた為 その言葉に今日は甘えることにした
今日は時間もいっぱいあるため、ある程度の家事を済ませたら勉強の予習をすることにした
1時間程 過ぎた頃 玄関の扉がガチャと開く音がした
母さんはいつも深夜に帰ってきてすぐ出ていく…
だがこの家にいるのは僕と母さんだけだ
すると僕の部屋の扉が開いた
そこに目を向けるとそこには少し化粧が崩れ窶れている母さんが仕事用の鞄を持ったまま僕に冷たい目線を向けていた
「おかえりなさい」
なんとか母さんの冷たい視線に耐え喉から絞り出した声は余りにも弱々しく震えていた
母さんはそんな僕を見て「はぁ」と深い溜息をこぼす
「あんた…学校で騒動おこしたんだってね 聞いたわよ」
「えっ……」
今回の騒動は穏便に済ませてくれるんじゃ…でも今思えば親は呼び出さないと言っただけで連絡はしないとは先生は言っていない…
だからか…そう自己解決をしてから母さんに頭を下げる
「ごめんなさい」
「これじゃあ藤治さんに認められないわ……いい?私はまた戻るけどこれだけは肝に銘じなさい
もうこんなトラブルを起こさないでちょうだい…いいわね」
「はい……」
そう僕が言ったのを聞いて母さんは少し乱暴に扉を閉めて直ぐに出ていった
僕はなんとも言えない怒りが込み上げてき机に置いてあった参考書や資料などを乱暴に腕で床にたたき落とす
自然と涙が込み上げてきて体は一瞬で脱力したかの様に崩れていった
あぁ……全ては母さんの為に僕は友達も大好きなバレーも捨てて勉強を頑張って家の事もちゃんとした
なんで…なんで母さんは僕を認めてくれないの…でも僕は分かっている…母さんに愛されるためには僕や母さんを捨てた父さんに僕を認めさせる
たったそれだけのことだ
でもそのたったそれだけの事が十二年を経った今でも達成出来ていない…
母さんは父さんしか見ていない…僕なんて目の片隅にもない…
小さい頃は良く僕を見ながら父さんの名前を言っていた
愛おしそうにその名前を呼んで僕を見る目は恋する乙女そのものだ
僕は幼いながらにも自分への愛情ではないと理解は出来た
母さんの心を全て持っていき
その上、母さんの存在を無いものとしようとする
そんな父さんが僕は大嫌いだ
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←The breath, that collapse.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NOAH | 作成日時：2021年9月11日 17時
