いつのまにか悪女になってた【歌い手】

2話 ページ3

席に着いても、やっぱり、睨まれている。
ま、当たり前っちゃ当たり前かもしれない。
ふと桃川さんの方を向くと、すっかり涙は乾いていて、私の方を見てニヤリと笑った。
うわっ…。

「あ、あの…!」

私の隣の席の相川君に話しかけられた。

「…はい」

私が返すと、相川君は自分から話しかけておいて少し驚いた。

「Aさんは、本当に桃川さんを、いじめてないんですよね…?」

相川君は他の人には聞こえないような小さな声で聞いた。

「はい。いじめてないですよ。昨日は親友名前と一緒に帰ったし、帰る前は部活でしたし。」

私が事実を話すと、相川君は信じてくれたらしい。

「ですよね!僕、昨日二人が下校してるとこ見たんです。その時、僕の友達が言うには桃川さんはまだ部活で部室にいたらしいんです。」

相川君はそう言うと、優しく微笑んだ。
うわぁ〜、すっごいイケメン〜、と思っていると、どこかから舌打ちが聞こえた。
誰だろーとクラスを見渡すと、桃川さんに凄く睨まれていた。
可愛らしい顔がなんか凄く怖くなっている。

「ど、どうしたの?」

相川君が心配そうに聞いた。

「え、あ、いや、なんでも」

私は上手く(?)誤魔化す。

「絶対嘘だよね!?」
「あ先生来たよ静かにしないと」
「ちょっと!?」

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