昼のカオと夜のカオ 【江口拓也】

夜のカオ ページ33

すると、肩を思いっきり引かれてそのまま誰かの胸へ飛び込む。

目を開けて顔をあげると、名前を呼んだ人が。

抱き締められたときの温もりだとか匂いから、溢れていた涙がまた流れる。









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江口「………あんた、何してるの。」

成瀬「何って………キス？」









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江口から発せられた声は演技とかで使うようなトーンじゃない………もっと、低い声。

さらりと悪気なんて感じられないトーンで答える、成瀬。

抱き締められていて江口の顔しか見えないが、江口の顔は見たことがないくらい怒りを秘めた顔をしている。









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江口「今後一切、関わるな。」

















*









そして、そのまま手を引かれて車へ乗り込む。

江口は駅から家まで歩いて帰る途中だったのか、車は持ってきていないようだった。

私は助手席に押し込められるように座らされて、江口が運転席に。

ブンッと急発進する車の中から、バックミラーで成瀬をみるとなぜだか余裕そうな企みがある顔をしていた。














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「ん、………………っ！まっ、て！………………ぁ、！！」

江口「待てないし、待たない。」









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家につくと、腕を引っ張られてそのままベッドの上に押し倒される。

有無を言わさぬ手加減なしのキスに、怒りが伝わる気がする。

いきなり舌が絡まり、激しくて、意識がくらくらする。









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「………………っん！！ごめん………………っ、あ、っ！」

江口「ほんと、こんなの付けられてさ。」









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覚めた視線で見つめられて、鎖骨を細長い指で撫でられる。

多分、成瀬がさっきつけたキスマークがあるのだろう。




………そして、嫌でも蘇るさっきの行為。

思い出すだけでもぞわぞわと寒気がする。

江口が助けに来てくれたとき、どんなに安心したことか。

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