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カーテンの隙間から漏れてきた光が眩しい。
頭痛が痛い。自分がアルコール臭いのがわかる。
昨日お風呂入ってないしな…。というか、いつもよりベットが狭い気がするし、なんなら暑いくらいだ。
「ううん…。」
と、目を開けてみた光景にかなりギョッとする。
え…?駿貴だよね…?ってか、なんで下着なの?私。いや、駿貴も服着てな…。嘘嘘嘘。
頭がすごい速さで回転しているのがわかる。
アルコールでガンガンと痛む頭がさらに痛み出す。
昨日…そう飲んでた。かなり。駿貴と二人で外国人…ジェームズに絡まれたのは覚えている。それから…、そう。マスターからテキーラ奢られて、そこから…。
ダメだ。思い出せない。
いつもの感じなら駿貴が送ってくれたんだろうが…。そのまま駿貴が泊まっていくこともたくさんあったしそれはいい。
…何故着ていないんだ。嫌な汗まで出てきた気がする。
グルグルと考えていると目の前の頭痛の原因が目を覚ました。
「…ぅあ。あー、頭いてー。…んん、おはよう、A。」
「おはよう…。駿貴…。」
朝からその爽やかな笑顔が眩しい。ホントいい男だよなー。これで彼女がいないって言うんだもん。世の中おかしいよね。
…って現実逃避しすぎた。今はこの現状をどうにかしなければいけない。
「あの…、駿貴…?」
「ん?」
「その…、この…?状況は…?」
「ん?あぁ。覚えてないか?」
終わった…。駿貴とはこんな仲になりたかったわけじゃ無い…。お酒でこんな失敗はしなかったのに…。
「…昨日のAかわいかった。」
そう言って私の頭を撫でてくれる。こんな気恥ずかしい台詞ですら似合う男だ。
「めちゃくちゃ甘えただったな。」
「やめてぇ…。ごめん…こんなつもりじゃ…」
とうとう後悔と罪悪感が絡み合い涙となって溢れてしまった。
「あぁ!違う!すまん!ちょっと意地悪するつもりが…。」
「え?」
「何も無い。何もしてないよ。」
「ホント?」
「ホント。あまりにも昨日、Aが暴れるから仕返ししてやろうって思っただけだよ。だから、な?大丈夫。」
私が泣き出したことに焦った駿貴が事の顚末を話してくれた。
…よかった。何もなかったのか。大事な飲み友達をなくさずに済んだことに安堵する。安心するとまた涙が溢れてきた。
「あぁ!ごめんて!な?A〜!悪かった。」
「うぅ…っ。」
謝りながら頭を撫でてくれる。
そんな駿貴はやっぱりナイスガイだ。
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作者名:未果子 | 作成日時:2020年12月25日 1時