scene.2 ページ7
「A！鍵は？いつものとこか？」
「そぉーう！」
駿貴の声がする。鍵を出してくれるみたいだ。
…ん？私飲んでなかったっけ？ひっさしぶりにテキーラ飲みまくったから潰れたか。
ごめんね、駿貴。
「ごめんね、駿貴〜、潰れちゃったぁ。」
「おう、正気になってきたか？」
「ぬぅ…、ポカリ…」
「買ったよ。とりあえず部屋入るぞ。」
「はぁい…。」
鍵を開けて玄関に座らせられる。
ヒールを揃えてくれた後、駿貴は部屋の奥に進んで自分の荷物を置きに行ったみたいだ。
ダメだ…。かなり回ってる。なんなら少し気持ち悪い気もするが、吐くまでではない。
横になれば回復するだろう。もう横になろう。
「あぁ、A！そこで寝んな〜。」
「うぅ…、もう動けへん〜」
「しゃーねぇな。ほら、腕回せ。」
私に首に腕を回すように言った駿貴は膝の裏と背中に腕を通して所謂お姫様抱っこをしてくれた。
フワリとした浮遊感が気持ちよく、思わずそのまま眠りに落ちそうになる。
あ、スーツ脱がなきゃシワになっちゃうな…。
化粧も落とさないと…、あー、でも面倒だな…。
「Aー？おろすぞー。」
「うぅ…ん、いやや…、このままがいい…。」
「ばっ、…ほら、とりあえず横になれ？な？」
「ぬぅ…、む。」
「はいはい。おりこー。スーツ脱がすぞ。」
「はぁーい。」
ベットに寝かせてくれた駿貴はそのまま慣れた手つきでスーツを脱がしてくれる。
流石ナイスガイ…慣れてる。いや、お互いいい歳だからそうだろう。そんなのは何度もあるだろう。
ジャケットを脱がせて、タイトスカートのファスナーを、おろしてくれる。
「流石にこの先は俺は出来ないからAやりな？」
「うぅ…、駿貴してぇ…。」
「珍しく甘えただな…。いや、…ダメだろ。そのまま止めてあげれないから。」
「ええよぉ…。駿貴なら〜。」
「ホント。あなたよくないよ？ほら、…もう。」
そういいながらもため息を吐きながらストッキングを脱がせてくれた。
なんだかんだ言って世話を焼いてくれるこの男に甘えてしまうのも、多分お互いの弱みを見せあった仲だからだろうか。…なんて考えを浮かべたがいよいよ本格的に睡魔が襲ってきた。
「ぬぅ…。」
「Aー？…ったく。ホント人の気も知らないで。……やつ。」
何か駿貴が言っているが私の意識は睡魔に呑まれて夢の世界へと旅立った。
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作者名：未果子 | 作成日時：2020年12月25日 1時
