【QK】女王はバーで溺れる (ページ24)

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結局、駿貴にマンションの入り口まで送ってもらいそこで別れた。
途中コンビニに寄って、缶チューハイを買っていると「まだ飲むのか。」と言われたが風呂上がりの一杯程美味しいものはない。
お風呂に入って髪を乾かし、今週撮り溜めていた番組を見ながら夜更かしが週末のルーティン。お肌には悪いが精神衛生には必要な時間だとも思う。

シャワーを浴びるための準備をしていると携帯から通知を告げる音がした。
この時間なので大方駿貴かマスターあたりだろう。シャワーを浴びてから返答しても遅くはないだろうと思い風呂場への扉を開けて蛇口を捻った。

お風呂から上がり携帯を確認するとやはりメッセージは駿貴からで

”遅くまで付き合わせてごめん。
よい週末を。"

といつも通り簡潔なメッセージが来ていてそれに私は

”こちらこそいつもありがとう。
ちゃんと今度はご馳走させてね。"

と、お礼のメッセージを返した瞬間にふと、先程の出来事を思い出し仕事の鞄から手帳を取り出した。…そういえば伊沢さんに連絡先を書かれたのだった。
普通に考えればあまりそういう方達と接点は積極的に取らない。連絡先を渡されても後に何かのトラブルの種になることもあるので、仕事上普段なら無視を決め込むのだが、今回に関していうと駿貴の同僚であり有名人。どちらを優先させるべきなのか…。
さらに今日はご馳走にもなっている。…いや、駿貴に言付けをすればいいのだが、連絡先を知っているのに遠回しにお礼を言う方が失礼にはなるし。

どうしたものか。

ううん…、としばらく考えたがどの道今の時間にはじめましての相手にメッセージを送る、送らないにしろ迷惑なので明日考えることにした。
今日はとりあえずこのバラエティを見てから寝よう。明日は溜まっている洗濯物をしなくてはいけない。

「はーぁ、今日は最後に衝撃すぎて疲れたわ。」

そんな独り言を吐き出し、ソファに身を沈めながらぼぅ…とテレビを見ていると流れたCMに伊沢さんが笑顔で出てきて、思わず口に含んだチューハイを吹き出しそうになった。なんてタイミングだ。

本当にこのテレビの中の人と呑んでたんだなぁ。としみじみ手帳に書かれた文字と番号を見ると現実であることを実感した。動画の中の笑顔でも、このCMような笑顔でもない違う笑顔をした伊沢さん。

…何を思い出しているんだか。

本当に今日はなんだか変だ。自分じゃないみたい。
丁度チューハイも飲み切ってしまったし、もう寝よう。それがいい。