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あれから1時間程それぞれが好きに飲み好きな話をする。
マスターとも仲良くなったみたいだし、皆さんかなり気を遣ってくださり私も初対面とは思えないほど仲良くなれたと思う。
気づくと駿貴はトシとギャーギャーしてるしふくらさんと山本さんは店にあったパズルゲームで盛り上がっている。
私の隣はいつの間にか伊沢さんが座っていて二人で話すことになった。
「皆さん意外と飲めるほうなんですね。」
「そうかもしれませんね。一番飲めるのはふくらさんかな?」
「へー!それはまた福良さんはお野菜はダメでもお酒はいける口なんですね。」
「野菜嫌いなのよくご存じですね。」
「野菜の見分けできない動画見たときは衝撃でした…。」
「やっぱり皆さんちょっと引きますよね…。」
「若干ですが…。伊沢さんのイメージは少し違いました。」
「え?そうですか?」
「はい、もう少し子供っぽいかと思ってました。」
「あー…、動画だとどうしても騒いじゃうんでそうかも知れませんね。」
あはは、と笑いながら困ったように眉根を下げた伊沢さんが突然、テレビでクイズの答えを考えているときのように顎に手を当てて、何やら思いついたような顔をするとにこりと微笑んで私に耳打ちをしてきた。
「Aさん、今メモ書きってお持ちですか?」
「え?えぇ、はい。」
急に低い声で声をかけられたので、ドキリと心臓が跳ねた気がするが気のせいだ。第一年下の男の子にそんなときめくような…、…久しぶりに耳元で話されたことに驚いただけ!
誤魔化すように鞄の中から手帳を取り出して紙とペンを伊沢さんに差し出すと、ペンを受け取ってその紙にサラサラと何かを書き始めた。
「…はい。これ、僕の連絡先です。」
「は。え、あの…?」
「ふふ、待ってますね。」
秘密というように人差し指を口の前に立てながら悪い笑みを向けられ子供っぽいなんて嘘だ。そうなると先程のドキドキは気のせいでない気がしてしまった。
久しくこうしたトキメキをサボってしまっていたので正直かなり面食らって、ドギマギと心臓が跳ねているのがわかる。…今、私の顔はきっと赤くなっているのだろう。
まさかこの年で年下の男に翻弄されてしまうとは…、恥ずかしさと照れで何もいえなくなってしまったのだった。
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作者名:未果子 | 作成日時:2020年12月25日 1時