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無事4限を終えた。
目黒くんが隣に座ると言い出した時はどうなるかと思ったけれど、思ったよりも話しやすくて私もぽんぽん会話を続けてしまった。
男子と仲良くなるのは苦手だけど、グループ一緒だし。この縁を大切にするのもいい事かもしれない。
「ぼっちな先輩に付き合ってくれてありがとね」
「いきなりの自虐なんなんすか」
少しくらいの冗談も言えるようになったし、人見知りとは思えないくらいの快挙なのでは?なんて、自分を褒めてみる。
4限は思いがけず目黒くんと受けることになったけど、5限こそ本当のぼっち。
3限で呆気なく帰ってしまった奈子に思いを馳せるが、きっと奈子は今バイトを頑張っているのだろう。
まあ別に1人で授業受けるのは集中できるから好きなんだけどね。
「Aさん、5限あるんですか?」
「あるよ〜、目黒くんは?」
「俺もあります。一緒ですかね」
「私、心理学」
「あ〜違った。俺、心理学と迷ったんですよね」
ちょっと残念がってくれる目黒くんに頬が緩む。
懐いてくれた、って言い方は変かもしれないけれど、懐いてくれる後輩って可愛いな。
いやいや、社交辞令かもしれない。舞い上がるのは良くないな。
「じゃ、また来週の3限で」
「そうっすね、ぼっちなの見かけたら声かけます。笑」
「ちょっと!ぼっちじゃなくても声かけてね。笑」
すかさずぼっちイジりをしてくる目黒くん。イケメンで人懐っこくて、こりゃあモテるだろうなと心から思う。
笑いながら目黒くんにひらひらと手を振り教室を出た。
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作者名:オユ | 作成日時:2021年2月24日 0時