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泣くものか、と空を仰ぐが目に入るのは天井。
そんな、格好のつかない私にも亮平くんと照は優しく笑ってくれる。
｢俺らだってお前に助けられてんだから｣
｢Aにはいつも助けられてるよ？｣
わしゃわしゃと二人で私の頭を撫で回す。
二人がかりで髪の毛をぐしゃぐしゃにされたらたまったもんじゃない。
｢…髪ぐしゃぐしゃになったんだけど｣
｢はいはい、笑 ごめんね？ほら櫛貸して｣
少し怒ったように言ったけど、その前の言葉が嬉しくて顔がにやけてしまう。
亮平くんが私の顔を見て少し笑ってから、髪を櫛で梳かしてくれる。
｢なんか、久しぶりだなあ。二人に髪ぐしゃぐしゃにされたりするの｣
｢その言い方は語弊があるだろ、笑｣
｢でも確かに久しぶりな感じ戻ってきたよね。俺たちもAも流石に気にしてたし…｣
チラッとこちらの様子を伺いながら話を始めた亮平くんに笑ってしまう。
そんなに気にしなくても。
｢みんな二年間も気を遣わせてしまって申し訳ない…｣
｢まあそれは仕方ないよ。身近で恋愛が始まったら気を遣っちゃうのは自然現象みたいなもんでしょ｣
そうだったのかな。
亮平くんも照もカナも距離感が近いからバグっていたけど、付き合ってからその距離感について北斗に言われたんだよね。
なんで他の男とそんなに近いの！って、北斗が言ってくれたのは可愛かったけど。
彼氏いるのに男友達と距離近いっていうのはどうかと思うっていう考え方の理解はできる。
でも、その友達は北斗の友達でもある亮平くんと照とカナだから、今までそれを見てきたのに付き合ってから離れるのはちょっと露骨じゃないかな、って私は思ってしまう。
北斗の考え方も、私の考え方も、きっと間違いでは無くて、どちらも正しいからこそのすれ違いだったんだと思う。
｢それでも寂しかったよ、私は｣
｢俺らとちょっと離れたから？｣
｢うん。肩組んだり、無駄に絡んだりするの、あんまり北斗は良い気しないのかなって思って、しないようにしたら、なんか寂しくなっちゃった｣
やっぱり酔いが覚めてないのかな。
こんなにボロボロと本音が溢れ出すとは思っていなかった。
楽しかった思い出ばかりだから、浸りたいけど、まだしんどい気がする。
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作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
