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｢A〜〜｣
名前を呼ばれると同時にガバッと肩に突然の重圧。
｢翔太、どうしたの…｣
｢なかなかAがかえってこないから、阿部ちゃんが心配してる｣
いきなり肩を組んで来たのは翔太。ちょっと遅くなっただけなのに。亮平くんは過保護かもしれない。
｢なんやぁ、Aちゃん、しょっぴーと飲んでたん？｣
｢阿部ちゃんもいんの？｣
｢うわ！なんでお前らいんの！｣
私しか視界に入っていなかったのか、大袈裟に驚く翔太に私の鼓膜は破れそうになった。
もうなんかどこが繋がってても驚かない気がしてきた。この二人も亮平くんと仲良いの？
｢ちょうどええやん！俺ら今いるとこ抜けてしょっぴーたちのとこ行こうや！｣
｢えぇ、亮平くんに聞かないと、それは｣
｢まあ阿部ちゃんのことだし良いよって言うだろうけど｣
翔太まで康二に加勢し始めたらもう合流一直線でしかない。
目黒くんは少し気難しい顔をしてるけど。
｢…しょっぴー、近くない？Aさん肩重そう｣
｢え、大丈夫だよ。重いには重いけど｣
｢ほら、重いって｣
大丈夫だよという言葉をガン無視した目黒くんは私から翔太を引き剥がした。
なんかさっきもこんな感じだったような、デジャブ。
｢目黒、嫉妬？見苦しいよ｣
機嫌が悪そうに眉を顰めた翔太が目黒くんに向かってめんどくさいことを言い出してしまった。
｢何言ってんの？もしかしてしょっぴー酔っ払い？｣
｢しょっぴー酔うとめんどい奴やな｣
翔太への二人からの攻撃で少しだけ笑ってしまう。
後輩にこれでもかというくらいいじられてるんだな、翔太って。
｢目黒は苗字だろうけど、俺は名前で呼ばれてんだからなあ！｣
｢いや、そうだけど。私が呼んだところでなんの自慢になるの？｣
すごいドヤり具合で言い放った言葉は特に自慢の意味を持たない。
｢え！まじで？なんで？？｣
｢しょっぴー、自慢になってないで｣
気付いてなかった目黒くんと冷静にツッコミを入れる康二の温度差がすごい。
…というか、
｢ねえ、いつまでトイレの前で話すの…｣
｢確かにそうや！ちょっと今おる所に抜けるって言ってくるわ！｣
しっかり驚いたリアクションを見せた康二の行動は早い。
目黒くんを連れてそそくさと歩いていく。
自慢をしたはいいものの不完全燃焼の翔太を引っ張って部屋へ戻ろうとすると後ろからまた声が聞こえる。
｢あ！しょっぴー！俺もAちゃんに名前で呼ばれてんで！！｣
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作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
