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watanabe side
阿部ちゃんに誘われた飲み会。
初対面の女子とか勘弁とは思いながらも、阿部ちゃんが誘ってくることはあまりないし、結局来てしまった。
呼ばれて向かったところには見知った顔の人間がいて、少しだけほっとした。
初対面のもうひとりも、うるさいにはうるさいけど、悪いヤツではなくて安心。
で、学校でも、グループが組まれた時でも、特に話すことがなかった佐倉Aと何故か話をしている。
｢んー、北斗との話、何から話そう…｣
しかも重めの話。
｢あー……じゃあ出会いとかから？｣
｢結構溯るね、笑｣
恥ずかしいからお酒のペースあげながら、と一気にレモンサワーを飲み干し、また同じものを頼んでいる。
元々さっきから飲むペース早いけど、強いのか。
｢私と北斗は高二で同じクラスになったの。で、亮平くんがクラス変わった初日から北斗に話しかけて仲良くなってて、｣
｢北斗がすぐ仲良くなるの珍し……、まあ阿部ちゃんの雰囲気だからこそか｣
｢うん、私も亮平くんと話す時に北斗とも関わること多くなっていって、仲良くなった｣
初対面の北斗は無表情だし無口だし何考えてるか分かんなかったよ、と懐かしそうに笑う。
｢高二の夏かな、体育で男子がバスケやってて女子がバレーやってたの。飛んできたバスケットボールが思いっきり頭にぶつかって、笑｣
｢え、笑｣
｢だいぶ派手にぶっ倒れて、起き上がろうとしたら北斗が凄い勢いで駆けつけて来てくれて｣
幸せそうに笑いながらそこまで言うと、すぐ恥ずかしそうな表情になり、また運ばれてきたレモンサワーを半分ほど飲み干した。
｢こっちがビックリするくらい心配してくれて。何度も大丈夫って言っても保健室！行く！って連れてかれた、笑｣
｢そこから好きになったの？｣
｢…うん。関係壊すの嫌で最初は隠してたけど、高三でクラス離れちゃって。悩んだけど、ちゃんと告白した｣
俺の中でのこの人は、流されるように人に合わせて、穏やかに生きてるイメージだった。
意外と、意志が強いんだな。
｢そこから最近まで、付き合ってたんだ｣
｢うん、結構性格似てたの。電話は苦手、寝起きは悪い、ひとりが好きなくせにすぐ寂しくなるとか、｣
ひとつひとつ思い出すように、大切に言う彼女を見ると、俺には計り知れないくらいの愛があったんだな、なんて柄にもないことを考えてしまう。
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作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
