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「お疲れ様です〜」
「お先に失礼します〜」
奈子と共に締め作業を終え、お店を出る。
やっぱり金曜日は忙しかった。
不安はあったけれど、業務自体は北斗とちゃんと連携も取れていたし、思ったよりも仕事中は辛くはなかった。
意外と、私、大丈夫なのかもしれない。
「そういえば奈子、康二と話せた?」
「ちょっと!聞いてよ!話せたの!!!」
ふと気になっていたことを奈子に尋ねると、ノリノリで話し始める。
康二は後輩だけど仲も良いし、私のことを親しみを込めてAちゃん、と呼んでいる。
その感じで奈子のこともちゃん付けで呼んでくれるようになったらしい。
「まあ私はこんな感じだけど!Aはどうだったの!!逆ハー!」
「逆ハーって言わないで、笑」
自分の話でテンションが上がった奈子は私に話を振ってくる。
隠す必要もないし、と今日あったことを大雑把に報告すると、ニヤニヤと悪い顔をし始める奈子。
「なんか、乙ゲー?」
「それはちょっと思ったけどさ、そんなんじゃないよ」
「まあでもAが男嫌いとかになってなくてよかった〜」
奈子の安心したような呟きに、良い友達を持ったなと心から思った。
大学で人見知りすぎてひとりでご飯を食べていた私に声をかけてくれたのは奈子だったし。
「北斗のことは仕方ないからね、いきなり忘れるとかは無理だけど。納得はしてるよ」
「そっかぁ、まあ私は分かんないけどさ」
「中学から彼氏いないんだっけ?」
「それは言わない約束!!」
こんなに可愛くて良い子なのに、なかなか彼氏が出来ない奈子はそもそも男子と関わろうとしないからで、理由がハッキリしている。
だから、康二のことが気になると自分から言い出した奈子はきっと無敵。なんて、友達バカかな。笑
「まあ恋愛とか抜きにしても、せっかくなんだからそのB型4人で楽しくやりなね」
「いやまとめないでよ、笑」
心配してるんだか面白がっているんだか分からない奈子に軽い脳天チョップをかます。
B型でふと思い出したけど、そういえば、北斗もB型だったな。
「奈子!」
「なに〜A」
「いつもありがとうの気持ちを込めてアイスを奢ってあげよう」
「なにそれ、笑」
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作者名:オユ | 作成日時:2021年2月24日 0時