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｢じゃ、Aちゃんばいばーい｣
｢うん、じゃ｣
学校内でまだ用事があるらしい深澤くんと渡辺くんとは教室を出たところで別れた。
ヒラヒラと手を振る深澤くんに応えるように私も手を振ると渡辺くんもさりげなく手を振ってくれて、少し嬉しかった。
校門を出てバイト先までの道のりを歩く。
今日は色々なことがあって忘れていたけど、バイトのことを思い出すと、気が重い。とにかく気が重い。奈子がいるのは嬉しいんだけどね。
携帯を開き、シフトを何度も見直す。何度見ても変わらないことは自分でも分かっている。
やっぱりバイト、変えようかな。
憂鬱な気持ちを晴らすように早く足を進めていたら、虚しくも出勤時間よりも早くバイト先のカフェに着いてしまった。
｢おはようございます〜…あ、｣
｢…おはようございます｣
ジーザス。早々会うなんて本当にツイてない。
気にしなきゃいい。気にしなきゃいいんだけどね。
｢…出勤、19時からだったんだ……北斗｣
｢ん、そうだけど｣
｢そう、｣
白々しく話しかけてしまったが素っ気なくも答えてくれて、ホッと胸を撫で下ろす。変な汗かいた。
それ以上は特に話はせず、荷物をロッカーに入れ、女子更衣室へと入って着替えを始めた。
お店の裏から入って即鉢合わせした相手、松村北斗。夏休みの最後の日に別れた、2年付き合っていた元カレ。
別れよう、と最終的に告げたのは北斗だったけど、お互いに考え方の違いを理解し合うのに疲れてしまっていた。そろそろかな、と予測はしていた。
そうは言っても、2年付き合っていた人間をすぐに忘れられるわけもなく。と、いうかバイト先を一緒にしてしまったのはやはり間違いだった。
奈子以外にはまだ言っていないけど、周りの人にも付き合っていることは知られていたし、このまま黙っている訳にもいかない。
でも、別れたことを言ったら言ったで気を遣わせてしまう。
…新しいバイト先、探そうかな。
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作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
