初恋相手は姉さんでした。【JK】 (ページ33)

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「ジミン…いつまでもメソメソしてんな」

「だって…っ…Aちゃんは僕にとって全てなのに……テヒョンは辛くないの？」

「俺もお前と同じ気持ち…。けど、どうにもならない事もあるんだよ。Aが俺やジミンを友達として見ているように…。」

すっかり酔い潰れてしまったAを背負い、アパートまでの道をゆっくり歩く。隣ではジミンが酷く落ち込んでいて、その姿を見ているとなんだか俺まで泣きそうになった。

「テヒョンはいつからAちゃんの気持ちに気づいてたの？」

「なんとなく、そうなんじゃないかって思ってただけ。俺らと一緒にいてもAの口から出てくる名前はグクグクって。弟の話してる時はなんか楽しそうでさ。Aは気づいてないかもしんねぇけど、ある日を境に女の表情をするようになったんだよ。俺らには見せないような表情して…さ。気づかないフリしよって思ったりもした。でも、出来なかった…。」

「どうして？」

「理由なんてわかんねぇ。自分がこれ以上傷付きたくなかっただけかも」

背を押す役目なんて、らしくない。本気で好きなら奪ってでも自分のモノにして、離したりはしないのに。Aにはそれが出来なくて。結局後悔して。

でも、弟の話をするAの表情は柔らかく、微笑む姿が見惚れるぐらい綺麗で。その幸せを壊したくないとも思う自分がいるのも事実。

「こんなイケメン二人が側にいて、どっちも恋愛対象じゃないってのも」

「なんだか笑っちゃうね…。」

「まぁな。俺はまだAの事は諦めてはないけどな」

「僕だって」

俺の言葉にジミンは頷き、「僕もAちゃんおんぶしたい」と俺の背で眠っているAの体に腕を回す。

「姉さん…！」

Aの姿を見つけ、アパート前で待っていたジョングクが走り寄ってきた。心配そうな表情に、俺の背で寝ているAの体を奪うように自分の体へと抱き寄せる。

急に無くなった温もりが恋しい。
そんな俺の気持ちを知らず気持ちよさそうに眠るA。

ほんと呑気なもんで、俺とジミンは顔を見合わせて苦笑した。