初恋相手は姉さんでした。【JK】 (ページ29)

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「姉さん絶対怒ってるよな…。」

結局朝まで先輩に付き合わされた俺は、姉さんに連絡を入れることも出来ずに嬉しくない朝帰り。居酒屋をはしごした先輩は結局酔い潰れ、最後は先輩の自宅で介抱までするはめに。

俺の相談にのると言っておきながら会社の愚痴を散々聞かされ、逆に俺が宥める役目。

ほんと勘弁して欲しい…。

「ただいま…。」

薄暗い部屋にまだ寝ているだろう姉さんを起こさないよう、リビングに入った。

「お帰り…。」

「姉さん…起きてたんだ」

「私が起きてたら何かまずい事でもあるわけ？」

「そういう意味で言ったんじゃ、」

「なら、どういう意味よ！ずっとグクのこと待ってたのに、連絡一つも寄越さないで！グクに何か合ったんじゃないかって心配してたのにっ…！」

「ごめん…。連絡しようとしたんだけど携帯の充電が、」

「連絡の手段ぐらい他にもあったでしょ？」

「そうだけど…連絡できる状況じゃなかったって言うか。姉さん俺の話を、」

「もういい、聞きたくない！！」

俺が何を言っても姉さんは、聞きたくないと俺を拒絶する。
声をあらげて、俺を見てはくれない。

就職祝いをしてくると喜んでいた姉さんを裏切ったのは自分。どんな理由があったにしても、姉さんを不安にさせて傷つけたのは俺なのに。

どうして上手くいかないんだろう。

「姉さんごめん…。俺、どうしたらいい？俺姉さんに嫌われたくない」

「………仕事行くから」

こんな早い時間に仕事に行くと部屋を出て行った姉さん。

そうまでして俺と一緒にいたくない？
もう、俺の顔も見たくない？

机に置かれた料理は手付かずのまま。いつ帰ってくるのかも分からない俺を、姉さんはずっと待っていてくれた。

「ごめん……姉さんごめん…。」

何度もごめんと呟いても、伝えたい相手はここにはいない。
静まり帰った部屋に俺の声だけが聞こえて、それがまた空しく感じた。

近づいたと思えば、簡単にその距離は遠くなる。
触れたいと、抱きしめたいと手を伸ばせば届くはずなのに、それすらも出来なくて。

俺は膝を抱えて、姉さんが出て行ったドアばかり見つめていた。