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デスクに広げた資料に目を通さずにボーッとしている私の後頭部に鈍い痛み。
何事かと後ろを振り向くと、鞄を手にしたテヒョンとジミン君が立っていた。痛みの原因がテヒョンの持っていた鞄だと気づいた私は、テヒョンを睨み付ける。
「ちょっと、何するのよ！」
「お昼休みになったの教えてやったんだろ」
「え、もうそんな時間！？」
「Aちゃん仕事中ずっと上の空だったね。そう言う僕もAちゃんばかり見ていて、全然仕事してないけど」
恥ずかしそうに鼻の頭をポリポリとかくジミン君。
「お昼行くだろ？」
「行くけど…。」
「Aちゃん元気ない？もしかして悩みでもあるの？」
「まぁ、そんな感じ」
「どうせ昼なに食べようとか。それぐらいのこと、」
「ジミン君たまには二人で食べようか」
「え…いいの！？」
ジミン君の腕を掴んで歩き出す私の肩を「待て」とテヒョンが掴んだ。
「テヒョン邪魔しないでよ。せっかくAちゃんと二人きりで濃密な時間を過ごそうとしてるのに」
「なんだよ濃密な時間って。そんなこと俺が許す訳ない、」
「ジミン君早く行こう」
肩に乗っていたテヒョンの手を退かし、ジミン君と歩きだす。
「あ〜もう！俺が悪かった！だから無視するなよ…。」
テヒョンの口から謝罪の言葉を聞いて、振り向いて私が手招きするとテヒョンは嬉しそうに駆け寄ってきた。
「Aちゃんテヒョンには甘いんだから」
「そう？ジミン君にも甘くしてるつもりだけど」
「わかってるけどさ。その優しさがみんなと同じってのが不満っていうのかな。どうせならAちゃんの特別になりたい」
「確かに。そう思うのは自然なことだよな」
「テヒョンも？」
「俺だけに関わらず。誰かの特別になりたいとは思う。それが好きな相手なら尚更」
「そっか…。そうだよね」
誰かの特別になりたい。
その言葉にふと頭をよぎったのは、グクの顔。
今朝も逃げるように仕事に行った私を、グクはどう思っただろう。グクの気持ちを知ってしまった以上、いつかはちゃんとその気持ちと向き合うことになるんだろう。
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2019年3月31日 1時
