初恋相手は姉さんでした。【JK】 (ページ21)

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ビユッ、と風を切る音。ジンさんがテヒョンに殴られる光景を見てられないと私は目を閉じた。けど、何の音も聞こえない。殴られた音も、痛みに呻くジンさんの声も。

何があったのかと目を開けようとした私の頭に不意に乗せられた手。

「俺が本気で殴るわけないだろ。そんな光景お前に見せて嫌われたくないし」

「テヒョン…。」

ポンポンと私の頭を軽く叩くと「さっきは悪かった」とテヒョンはグクに頭を下げた。

「お前とAの仲に嫉妬して、冷静な判断ができなかった」

「あ、いえ。俺も生意気なこと言ってすみませんでした」

グクも慌てて頭を下げる。
仲直り(?)できたのかと私と同じくテヒョンを止めようとしたジミン君を見ると、視線に気づいてニコッと笑顔を返してくれた。

どうなることかと肝を冷やしたけど。体を張って止めに入ってくれたジンさんには感謝したい。

「テヒョン。僕に謝罪の言葉は？」

「は？なんで？」

「なんで？って聞き返すのは可笑しい。僕のこと本当に殴ろうとしただろ？」

「でも、ちゃんと止めた」

「止めたからいいって問題じゃない。恐怖心を植え付けられて夜寝るとき思い出して寝られなくなったらどうする？テヒョン一緒に寝てくれるのか？」

「絶対にヤダ。そもそも殴ってみろって言ったのは自分の方、」

「………忘れた。いいさ、テヒョンがダメならAちゃんにお願いするから」

「え、私！？」

二人のやり取りを傍観していた私に突然降りかかった火の粉。
ジンさんには感謝しているけど…。

「ね、いいよね？」

「いいよねと言われましても…。」

「姉さんはダメです。三人に関わらず姉さんに近づく男は、俺が阻止します」

「グク…？」

グクの言葉にジミン君は渋い表情。テヒョンは「面白いじゃんか」と挑発的な眼差しでグクを睨み付け。ジンさんは「よく言った！」とグクを誉めていた。