絹妹の怪異譚【フィッシャーズ】

出発の準備 ページ6

「これと…あとこれかな？」

今から、あそこへ行く。

君に会うため。全て、終わらせるため。




夢のこと



「あれ？またここ？」

？「ねえ、はやく」

「え？」

？「はやく、私の所へ来てよ」

「…君の、所へ？」

？「14年間、信じて待ってる」

「！」

？「はやく、来てよ…Aちゃん…」

「…」

？「私は、貴方が唯一の友達なのに…！」

「！…私に、気付いてないの？」

？「ああ、周りを消せば来てくれる？」

「周りを消す！？」

？「貴方の周りの虫どもを消せば…気付くの？」

「ダメダメダメダメ！皆は消しちゃダメ！」

？「そうよね…貴方が来ないのが悪いんだもの」

「行かなきゃ、君のとこへ」

？「…ーーーーだよ、ね」

「え？今…なんて言って？」

ﾊﾟﾁｯ

額を抑え、起き上がる。

「行かないと、行けないのか……」

今日の夜、兄さん達はマサイの家に行くはず。

珍しく全員集合らしいしね。

そのときにバレないように行こう。

でもきっと兄さん達なら私を探すはず…。

それにちょっと探して欲しいかも、なんて。

兄さん達を巻き込んじゃダメだ…。

忘れないようにメモ取っとこ。

ｶｷｶｷ

『公園 サギソウ 藍華 会う』

公園の地図をアプリで見た。

あの場所にピンを立てておいた。

車は運転できないし…歩きかな。

全速力で走って一時間ぐらいで着くよな。

体力には自信があるから平気だ。

自然体で居よう。

勘が鋭い兄さんにバレるとキツいからな。

１日平凡に過ごそう。


そうして、兄さんが家を出るとき。

「行ってらっしゃい。楽しんでな」

シ「おう。なあミルク？」

「ん？何さ」

シ「今日のお前…変だぞ？大丈夫か？」

「んー？そう？私は全然」

シ「…そう、か。無理はするなよ」

「おう！安心して！」

シ「おう！そんじゃ、行ってきまーす！」

「行ってらっしゃーい！」

ｶﾞﾁｬｯ

危なっ！バレかけた

さて、準備しよっと。


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置き手紙残しとこっと

「えーっと…」

ｶｷｶｷ

『出掛ける。帰らなかったら死んだと思っといて。あと探さなくて良いよ。自分の意思で動いてるから。じゃあな、アデュー』

携帯を置いて、家のドアに鍵をかけ、出発。





これが、始まったばかりの悲劇の話。


望まれぬ結末が現れようとしていた話…


絹妹の怪異譚









七つの歯車が運命の時計を変えていく＿＿＿＿。

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