Top Secret (ページ10)

今日:63 hit、昨日:179 hit、合計:121,034 hit

( 3 ) ページ10

.

あれから数日後。

「お兄ちゃんどうしよ、間に合わないかも。
いまタクシー呼んだとしてもくるまでに数分かかるし」

『チーム長、ごめんなさい…』

わたしたちがどうしてロビーで騒いでいるのかというと。

商品の海外進出に向けて、海外のとあるメディアで取材してもらえないか尋ねたところ ' 先に取材して内容をきいてから情報を取り上げるか検討する ' ということで今日はその支社にわたしが伺う予定だった。けれど、部下の子が時間を勘違いしてたみたいでいますぐに出発しても約束の時間に間に合うかはわからない、そんな状況だった。

わたしはどうアピールするかを考えるのに夢中で、時刻まではちゃんと確認しなかったからわたしにも責任はあるし、部下の子は真面目な子だしあんまり怒りたくないんだけど、今回はさすがに会社の大きなプロジェクトに関わるものだから頭がくらくらする。

ロビーでこの騒ぎを聞きつけて何事かとぞろぞろと人が集まってくる。

dy 「誰か社用車で送迎してくれたらいいんだけどな」

さすがのお兄ちゃんも頭をかきながら苦笑い。
なにもなかったらお兄ちゃんがいますぐわたしを送ってくれるはずなんだけど、生憎お兄ちゃんもこれから大切な会議を控えている。

いまから車で行ったとしても時間に間に合う保証はないから大体の人は責任を伴う仕事に関わりたくないはず。

誰も名乗り出てくれるひとはいないだろうなって思ってたのに。

jn 「送ります、ぼくでよければ」

そう声をあげたのは、ジェノさんだった。

わたしがシートベルトを締めた途端に走り出す車。
時計と睨めっこしながら気持ちは焦るばかり。

信号にひっかからないようにあえて道を変えてみたり、速度ぎりぎりで出すスピードのおかげで
約束の5分前にたどり着いた。