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AM 10:20
「室長！室長宛の荷物が届いたみたいですよ」
チームメンバーが室長へ伝えるけど、室長も手が離せなさそうで、でもなるべく早く手元にほしい大事な荷物らしい。
「誰か代わりに取りにいってくれないかな？」
と室長が声をかけてみてもほかのメンバーもできれば作業は中断したくない、そんな雰囲気が流れていた。
だから
「わたし取りにいきますよ、わたしの荷物も届いたみたいなので」
「ごめんね、じゃあお願いしていい？」
はい！と返事をしてロビーへ向かう。
わたしの会社の施設警備の仕事は施設の警備、出入管理ももちろんそうだけど、会社に届いた荷物の保管などもしてくれる。
だから、エレベーターを降りたらすぐ近くにいるジェノさんに聞いて荷物を確認してもらった。
jn 「何階に持っていけばいいですか？」
「わたし持っていきますよ、そんなに重くないので」
わたしが受け取ろうと手を伸ばしても荷物から離してくれない。
jn 「いや、持っていきますよ」
「じゃあ 広報チーム室までおねがいします」
そうやって流されるまま、一緒にエレベーターに乗る。
「あ、そういえば。
昨日はありがとうございました。
でもこういうのお兄ちゃん…あ、常務には秘密にしておいてください。心配して 終いには暴走するので」
わたしが高校生のとき、携帯を家に忘れた日があって。
しかもその日は文化祭の準備で急に居残りになって 帰りがいつもより遅くなったんだけど、わたしが帰ってくるまでお兄ちゃんは連絡もとれないし何かあったんじゃないか、って何も手につかずに大騒ぎしていたらしい。
そんな話を冗談めかしく教えると
それくらい大事なんですよっていつもの目尻の下がった笑顔で返された。
エレベーターから降りてドアの前で
「ここで大丈夫ですよ、ありがとうございました」
と荷物を受け取る。
jn「またなんかあったら声掛けてください」
そう言ったジェノさんの背中を見届けながら
優しい人だなあってまたしみじみと感じた。
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作者名：みる | 作成日時：2023年11月22日 16時
