Top Secret (ページ7)

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朝は気づかなかったけれど意外とがっしりしてるんだなあ、とか記憶は曖昧なくせにたぶん面影残ってるなあとか。

タクシーを待っている間、じろじろ見ちゃって
それに気づいた彼が不思議そうな視線をこちらに送る。

｢ごめんなさい、なんでもないです｣

今日でだいぶ不審なひとに思われてるな。
わたしに向けて不思議そうな顔してるの、今日だけでも何回もみた。

それからは「仕事どうでしたか？」とか当たり障りのないことを話していた。
わたしのこと覚えてますか？とは流石に聞けない。
苗字は変わっちゃったし、覚えてなかったらなんだか気まずいし。

呼んでからすぐタクシーはやってきて

「じゃあまた明日」

「はい」

手を振って別れ、彼が見えなくなるまで車が進むと
ふとジユの言葉を思い出す。

' Aってずっと変わらないよね。優しくされるとすきになるところとか。 '

' このタイミングで現れるってことは新しい恋をしなって神様が言ってるんだよ '

彼にとってはただ自分が働く会社の社員のうちのひとりを助けただけ。警備の仕事の延長上のことだよ。

何度もそう言い聞かせてみてもわたしの胸はどきどきと高鳴るだけだった。