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お店から出るとわたしの前にびゅっと強い風が通りすぎて気持ちがいい。
タクシーに乗ろうと思ってとりあえず車通りの多そうな道路まで足をすすめると、
「おねえさ〜ん」
後ろから声を掛けられて振り返ってみてみるけれど知らないおじさん。なんか酔っ払ってるのかな、具合悪そうにしていたから近づいてみる。
「どうしたんですか？」
すると顔を上げてわたしの顔を確認するなり、ひひって不気味な笑みをこぼして急にわたしの肩を抱く。
いや、こわいこわいこわい。
足ふらふらしてるし、でも手は離してくれないし。
どうしようかな、って誰かに助け呼ぼうって周りをきょろきょろしていると、
jn 「Aさん？」
わたしを見つけるなり、大丈夫ですかってかけ寄ってくれたのは今朝出会った、というか十数年越しに再会したジェノさん。
あの酔っているおじさんとわたしをうまく引き剥がし、ぶーぶー文句垂れてるおじさんを宥めてる。
対応が上手いし、なんか慣れてるなあなんて呑気に感心するわたし。
酔っ払いの人が帰ってもう見えなくなると、わたしの方に戻ってきてくれた。
jn 「家、この辺りなんです。
たまに変な人いるから気をつけてくださいね」
「ありがとうございます、助かりました」
ジェノさんにお辞儀をしてまた車の多そうなところまで歩こうとすると、不思議そうにこっちを見つめる瞳。
jn 「歩いて帰るんですか？」
「あ、いやタクシー呼ぼうと思ってて」
jn 「じゃあタクシー来るまで一緒に待ってますね」
なんだか申し訳ないけれど、また誰かに絡まれたりしたら面倒くさいのでそのまま優しさに甘えることにした。
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作者名：みる | 作成日時：2023年11月22日 16時
