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jn「…オッパって呼んでた」
お家に着くなりまた後ろから抱きつかれた。
くっつき虫ジェノくん。
なんとなく予想はしていたけれど今回は前よりもっと長期戦になるかも。今日はせっかくお泊まりなのに。
「お兄ちゃんの大学の同期でね、それで前からよくしてもらっていて…それでね、」
前回と違って今回は後ろめたいことがあるので
少々歯切れがわるい。
jn「すきだったことある？」
聞かれたくなかったことピンポイントできかれた。
言葉に詰まって無言のわたしはもはやそれが肯定のサインで。
「いや、あのね、」
濁そうとする口ぶりにはあ、というため息が耳元をくすぐる。
わたしの首元で巻きついていた腕を解いて
どこかにいこうとするジェノくん。
言い訳も聞く気のなさそうな素振りに
いままで言おうか迷っていたことを教えることにした。
「わたしもね、いままでいろいろ恋をしてきたけど
ジェノくんはわたしにとって特別だよ」
「わたしの初恋なの」
初恋というフレーズに立ち止まって
振り向いた。
jn「いつ？小学生のとき？」
驚いたような素振りでそう尋ねる。
「うん。男子たちが足球してたときにね、ボールがわたしに飛んできてそのときに当たらないように助けてくれたのがジェノくんだったから｣
わたしは急に恥ずかしくなっていつもより早口になった。
｢それからすきになったの。でもさすがにそれはもう覚えてないよね？ジェノくんがわたしと学校が同じだったって覚えていてくれただけでもすごいことだもん」
jn「覚えてるよ。そのときからもうAちゃんのこと、すきだったから」
大切な思い出の箱をゆっくり開けるみたいに
優しい口調で言葉を続ける。
jn「俺もAちゃんが初恋だったよ」
「そうなの？ぜんぜん、わからなかったし気づかなかった」
そんなわたしの反応をみて嬉しそうに笑っている。
「でもさ、わたしとジェノくんは初恋同士で、いままたこうして一緒にいるの。それってすごいことだよね」
これってドラマみたい、なんてはしゃぐわたしの様子を見てさっきまでの拗ねていた彼はもういなかった。
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作者名：みる | 作成日時：2023年11月22日 16時
