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ちょっと魔が差して誘いに乗ったけれど、開始10分くらいで後悔した。
お見合い相手は簡単に言うと、愛されて というか甘やかされて育った人の悪い部分を凝縮したみたいな人。
相手の親の会社はわたしたちの会社と業界が違うから今まで関わりがなかったんだけど、それならこのまま関わりがないままで終わりたかったかも。
お父さんはどうしてこんな人をお見合い相手にしたんだろう。いくらお人好しとはいえ断れなさすぎでしょ。
自分の自慢話をかれこれ1時間くらい永遠と聞かされるし、店員さんには横柄な態度を取るし。
わたしの引きつった愛想笑いとテキトーな相槌には気づいていないのだろうか。
いつもは笑顔でやり過ごすけれど、今日は機嫌がわるいので我慢できない。
長い自慢話が終わったと思えば、自分の会社の社員を貶して笑いをとろうとし出したのでさすがに器が広いわたしでも堪忍袋の緒が切れた。
それなのにこっちの感情もつゆしらず
次はどうします？なんてつぎの会う予定の事なんて考えてるから思わず立ち上がって言ってしまう。
｢もう会うのやめましょう。あなたの考えに共感できないんです｣
それでもまだ え？ってへらへら笑っているから。
｢わたし、あなたみたいなタイプだいっきらいなんです！｣
状況が理解できないのか、思考が停止したみたいにスンっと静かになったと思えば
拒絶されると爆発するタイプなのか、はたまたわたしが彼の感情スイッチを押してしまったのか。
酔ってるのもあいまって相手は怒ってマシンガンのような勢いでわたしを批難する。すこし汚い言葉もかけられた。
どうしたものかと様子をうかがう周りの視線も痛い。
また何か言えば火に油注ぐだけだなと考えてただ一方的に攻撃されるだけのわたし。
しまいの捨て台詞は
顔がかわいくても気の強い女はこっちから願いさげ、らしい。
顔を真っ赤にして帰った姿を見届けたあと、力が抜けてその場に座り込んだ。
お店に迷惑かけちゃったなあ、と思って近くで不安そうに様子を窺っていた店員さんに謝罪を述べると、誰かが近づいてくる。
jn ｢大丈夫？｣
｢ジェノくん…！」
「全部きこえて、たよね｣
店内に流れるゆったりとしたおしゃれな音楽ではあの騒ぎは打ち消せなかったと思う。
ジェノくんの隣に立っているのは、あれジェミンくんかな。
知り合いにも見られてたと思えばより一層、恥ずかしさが込み上げてきた。
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作者名：みる | 作成日時：2023年11月22日 16時
