Top Secret (ページ19)

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あれからどこから伝わったのかわからないけれど
わたしのお見合いの話はすぐに社内に広まった。

でもわたしにとっていちばん気がかりなのはそんなことじゃなくて、なんとなくジェノくんがいつもと違う気がすること。

朝会ったときは挨拶はしてくれるんだけど、そのままふらっとどこかに行ってしまう。

まるでわたしと会話をすることを避けてるみたいに。

この前ポニーテールをしたらかわいいって褒めてくれたから今日はゆるく巻いてみたのに、気づかれなかったな。

嫌われるようなことをした心当たりはないし、気のせいだってそう言い聞かせてみるんだけれど。

お兄ちゃんに呼ばれて役員室に向かおうと
開いたエレベーターに乗ろうとすると、ちょうどジェノくんとわたしと同じチームの子と出会った。

｢おつかれさまです｣

軽く会釈をしてそのまま降りて広報チーム室に向かうふたりと乗り込んで上の階のボタンを押すわたし。

ジェノくんまた荷物持って行ってあげてたけれど、みんなに優しいんだなあって。やっぱりそうだよね。
優しいのはわたしだけじゃないんだって、いつの間にか欲張りになったわたしはひどく寂しく感じた。

お兄ちゃんの用事はちょっとしたことだったから
すぐ終わったため、また広報チーム室に戻るとさっきジェノくんに荷物を持ってきてもらったチームメンバーの女の子が楽しそうに話していた。

『やっぱりイジェノさんかっこいいなあ。
今日初めて話したんです、毎朝会う度に思ってたんだけど、おまけにすっごく優しくて！チーム長もそう思いません？』

急に呼びかけられてびくっとすると

『こらこら、チーム長にはお見合い相手がいるでしょ？』

他のメンバーの子がひそひそとなだめるけれど、わたしの耳には届いていて。
ハハハって即席の笑顔を作ったんだけど、ちゃんと笑えていただろうか。