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jeno side
「取材、成功しました！来週には掲載予定の原稿送ってくれるみたいです」
きらきらの笑顔で社用車に向かう様子から良い結果だったんだなって予想したが、その通りだった。
車に乗ってから よかった、緊張した って何度も繰り返す彼女。
初めて会ったときから、昔、学校が同じだったあの子に似ているなって思った。
いまみたいに笑ったときにだけえくぼができるところとか。
たまにイムAちゃんじゃないかって思うときがあるんだけど、ただ名前が一緒だから自然とその子と重ねてるだけで、苗字もちがうしもうあの子はどこに住んでるのかもしらない。
急に転校が決まってあの子がいなくなったあと、いろんな噂が飛び交ったけれど結局ほんとうのことはわからなかった。
「チームのみんなにも、あ！お兄ちゃんにも報告しないと！」
たまたま行先が地元だったから道も知ってたし、不安そうな彼女の顔をなんとか笑顔にしたくて咄嗟に立候補してしまったけれど、全てが上手くいってよかった。
シートベルトを締めたのを確認してから車を動かす。
信号を待っているとき、横目で景色を確認するとちょうど小学生のとき遠足で行った場所が見えて懐かしく思ってたら、隣のAさんも同時に 懐かしいなあ って呟いたのが聞こえたから。
もしかして。
直感でそう思ったときには口は自然と動き出していた。
jn 「イムAちゃん？」
隣にいる彼女はキムAさんなのに。
初恋だったその女の子にどう振り払ってみても重ねてしまうんだ。
「え？」
拍子抜けしたような声がきこえた。
jn「いや、あの、ごめんなさい…」
なに言ってるのだろう。
急に違う名前で呼ばれたら驚くだろうに。
謝罪する声を遮るように重ねた言葉は
「覚えてくれたんだね、ジェノくん」
そう笑ったのは
もういちどだけでも会いたかった、初恋のひと。
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作者名：みる | 作成日時：2023年11月22日 16時
