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階段の隣にある空き教室でドアにいちばん近い席に座った。ナナちゃんが通ったときにすぐに気づけるように。
すると当たり前のようにわたしの隣に座ってくるハルくん。いまは別に暇だからいいんだけど。
こんなふうにハルくんがわたしの後ろについてくるのにももう慣れた。
『てかさ、こうやってふたりで話すのはじめてだね』
｢そうだっけ？｣
『いつもおれが教室にいくときはだいたい4人のうちの誰かいるから』
｢言われてみれば、そうかも｣
『なんかさ、いつも話しかけるとき周りの視線が超こわいの。 今日はそれがないからのびのび話せる』
｢そんなにこわい？｣
『うん。この前なんかさ、ロンジュンくんに 'からかいのつもりできてんならやめてくんない？Aのこと傷つけたら許さないから' ってすごい怖い顔で言われたよ』
｢え、じゃあ、ナナちゃ…ジェミンくんには？なんか言われたことある？｣
『うーん、あるけど…Aちゃんにはひみつかな？』
口元に人差し指をもってきて、シーってするハルくん。
にこにこ楽しそうに笑ってたのに急に真剣な顔になった。
『１個、聞きたいことあるんだけどさ』
｢うん、なに？｣
『ナジェミンってただの幼馴染なんだよね？』
｢えっと、｣
ハルくんがどういう意図できいてるのかわからなくて言葉に詰まる。わたしにとってななちゃんは特別だし、けれど、幼馴染以上のものでもなくて、でもそれじゃあただの幼馴染にカテゴライズされるの？幼馴染ってまとめちゃうにもなにか物足りない気もする。
返事に戸惑ってるとちょうどいいタイミングでメッセージの通知がきた。
｢あ、ナナちゃんからだ。玄関で待ってる、だって。
ごめんね、もう行くね、ばいばい！｣
逃げるように空き教室から出ようとすると、
あ、まって、これだけ、って鞄の中にチョコ牛乳を突っ込まれた。
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作者名：みる | 作成日時：2023年11月6日 17時
