藍沢先生。3 (ページ10)

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ー no side ー

静かな救命のスタッフステーションに、緋山が「最近肩こりがもうさ..」と疲れたように言いながら入ってくる。

「藤川は？」

「ＩＣＵ。冴島さんの側にいる」

「そっかぁ..じゃあ、これあげる」

緋山はそう言い、藤川に買ってきたコーヒーを白石に渡した。

ありがと、と白石は受け取り、二人同時に缶コーヒーのプルタブを開けた。

その二人の表情は、なんともいえないような、思いつめたような顔をしている。

そのころ、ＩＣＵの一角では藤川がカルテを見て１５分おきに記録される彼女のバイタルをじっと見つめていた。

彼女は、今日も目を覚まさなかった。

藍沢は、医局の休憩室でベッドの天井をずっと、見詰めていた。

眠ることも、何かを考えることもなく、じっと。

気が付くと、外は明るくなっていた。

彼は、無理やり体を起こして顔を洗う。

鏡に映った彼の顔は、白石や緋山と同じく思いつめたような、そんな顔をしていた。