藍沢先生。2 (ページ36)

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ー A side ー

耕作が病人扱いしてくるのに腹が立って、勢いでそのまま妊娠してる、と伝えてしまった。

当然、いきなりだから言われた耕作もびっくりしてて、目を見開いてたし、私も言ってからなんで今言ったの、と後悔。

もともと耕作は顔にも言葉にもしないタイプだから、何も言わなくても普通なんだけど、吃驚しすぎたのか嫌だったのかそれもわかんないのに私の頭はマイナスになっていく一方で、口からは迷惑だよねとか、ちゃんと堕ろすとか言いたくないことばかり言ってしまう。

しかし、耕作はそんなことを聞いていなかったのか、突然私の名前を呼んで涙でぼやける中耕作を視界に入れたら

「結婚しよう」

なんて彼らしくないことを言われて、私の頭も戸惑ってしまう。

「けっ、こん ..？」

「そうだ」

「耕作と、結婚..していいの、？」

「俺は御前がいい」

「赤ちゃんも、産んでいいの、？」

「ああ、一緒に育てよう」

「ううこうさくう..」

そんな風に思ってくれたことが嬉しくて嬉しくて、私は涙を流したまま彼に抱き着いた。

最初は恥ずかしいから辞めろとかなんとか言ってたのに、今では拒否することなく黙って抱き締め返してくれる。

嫌そうな顔するくせに、そうやって受け入れてくれるところが本当に大好きだ、と心から思った。

彼が口を開くまでは。

「A」

「ん..なに？」

「鼻水をつけるな。汚い。」

「は？なにそれムードぶち壊しほんとKY！」

「KYってなんだ」

「空気読めない！！まさに耕作にぴったりな言葉だよ！！」

「空気は読むもんじゃないだろ」

「はぁー耕作と話してたらまた気持ち悪くなってきたからねよ」

彼の天然さに私は少し苛立って、布団に潜った。

耕作は焦ってすまない、って謝ってたけど。

もういいよって言ったら、ホッとしたような表情見せて、私が寝るまでずっと横で手を握ってくれていた。

次の日に仕事の帰りにうちにきた耕作から指輪を渡されて、また涙ボロボロ流して鼻水はもうつけてないけど泣いてやった。

今度は学習して何も言わなかったけどね。