藍沢先生。2 (ページ26)

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ー横峯 side ー

ヘリの中で藍沢先生に3人全員見ろと言われ、心拍が上がり緊張と不安がどっと私を襲った。

だから藍沢先生とヘリ乗るの嫌なんだよなあ。

なんて思っていると、現場近くにヘリが着陸しドアが開かれる。

私はすぐに降りて一目散に走り出す。消防の人が案内します！と言い私たちを待っていたことなど知らずに。

後から藍沢先生に呼ばれて消防の人についてったけど。

それにしても船やば。窓ガラス割れてんじゃん。

なんて思い船を見ながら走っていると、前を向いた瞬間目の前にブルーシートがあって驚く私。

「こちらです！」と消防の人が言った声の聞こえる方に走ろうとするとそのままつまずいて転けてしまう。

「いった..」

泣きそうになる私を藍沢先生がすぐに起き上がらせてくれて、私は1台目の救急車に向かった。

中では冴島さんが既にいて、女の子は痛い、と声をあげていた。

藍沢先生の方を見てみるけど、何も言ってくれないし。

「聞こえますか？お名前は？」

女の子の胸部から触診で診察をしていく。

腹部の辺りに少し違和感を感じる。

すぐに聴診器で音を聞くと、通常の人とは違う音が聞こえてくる。

「胸部に圧痛、骨盤には異常ありません。バイタルもう一度測ってください！」

私は急いで次の救急車に向かう。

2台目の救急車には先程の女の子のお母さんと妹さんがいた。バイタルに異常のないことを言うと、藍沢先生は黙って私を見つめた。

え？なに？私の頭は混乱する。

すると、後ろに座っていた小さな女の子が、倒れた。

名前を呼んで瞳孔不動がないか見る。

「意識レベル悪いです！」

「それで？」

それで？え、それで？それで？

目の前の小さな女の子は私の腕を掴む。そして徐々に混乱する私。どうしたらいいの？

何も考えられず焦っていると、藍沢先生が「順番を決めろ」と言ってくれた。

順番、順番、順番..

「まず、この子をヘリで翔北に運びます。タッチアンドゴーでピストンして7歳の子もうちに。その間に、お母さんは救急車で近くの病院に運びます！」

「..悪くない。だが、7歳と4歳だ。親と一緒のほうがいいだろう。白石にベッドの空きを確認して、母親も翔北に搬送してやれ。」