藍沢先生。2 (ページ12)

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PHSのディスプレイには「ICU」の文字。

まさかと思い慌てて電話に出ると、看護師が少し慌てた様子で「 Aの体動が増えている」と言った。

「分かった、すぐにいく」

「また急患か？」

「体動が増えたらしい」

「 .. 早く行こう」

「あぁ」

新海とICUに向かうと、Aのベッドの周りには、白石たちや鴻鳥先生、小松さん、そして陽斗とお義父さんとお義母さんがいた。

みんな、慌てて駆けつけて来たらしい。

白石が、「セデーションは切ってあるから」と俺に伝えてくれ、Aを呼んでくれていた。

「 A！A！」

「まま？まま！」

「 A？A！A！」

反対側からお義父さんとお義母さん、陽斗がAを呼んで声を掛け続けてくれる。

「 A？分かるか？A！」

すると、うっすらとAが目を開けた。

「あぁ .. A.. っ」

「まま！まま！」

泣き崩れてしまったお義母さんを、お義父さんが抱き締めたのが視界の隅に入った。

「 A、声が聞こえたら俺の手を握ってくれ」

向かいで必死にママ、と呼ぶ陽斗の声と俺がAと呼ぶ声が聞こえたのか、弱々しい力ではあるが俺の手を握った。

「 .. A、よかった .. 」

「うう .. まぁまぁっ .. 」

「 A .. ！ほんっとうに、よかった .. ！」

チューブが入っているため、話すことは出来ないが、Aはお義父さんらの方を見て少しだけ眉を下げて笑った。

そして、泣きじゃくる陽斗の頭をなでて涙を拭った。

白石や緋山はそんなAを見て、少しだが涙ぐんでいた。