カラフルパレッター夢の語り方始め方【オリジナル】 (ページ14)

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赤色の願望　２ページ14

彼は多くを話さない。

「ミステリアス」だとか、「コミュ障」なんて言われているが、私はそうは思わない。

彼が饒舌になる場面があった。

彼の幼なじみであり彼の思い人であり彼の婚約者である女子と会話するときだ。

こういうのをギャップと言うんだ。

お昼休み。私は学校の食堂へ行った。

とはいえ、共に食べる者がいないので人気のないテラスのベンチに座った。

「さて、食べるか」

私は弁当箱を開けた。

「水田、こんなとこで昼飯か？」

不意にそんな声が聞こえてきた。

俯いていた顔を上げると、私の目の前には「彼」赤羽くんが立っていた。

彼の手には財布しか無いのでおそらく自動販売機でも利用しに来たんだろう。

「なんとなく外で食べたいなーと思ったの。ただそれだけ」

私は出来るだけ表情を変えないように淡々と話した。

「そうか」

彼は立ち去った。

箸を手に取り昼食を食べようとする。

そのとき私の右頬に冷たい感触が走った。

「ひゃあっ」

今思えば恐ろしく間抜けな声だった。恥ずかしい。