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第151話🦇野望未満の夢 ページ8

*ラッダァ side*

俺はミラから、位階(ランク)について思うことがあると打ち明けられた。

「魔力の少ない、低位階(ローランク)の悪魔か……確かにそのキリヲって奴みたいな悪魔はたくさんいるし、この位階(ランク)社会の魔界では苦労するだろうな」

「やっぱそうですよねぇ……」

難しい顔で溜め息をこぼすミラを見やり、俺は首を傾げる。

「もしかして、そういう格差を無くしたい……とか?」

「まさか。そないに殊勝な心がけ、アタシにはありませんよ。……ただ、まぁ」

制服の襟元に付けている位階(ランク)(バッヂ)に軽く触れ、彼女はどこか遠くを見つめて告げた。

「アタシはもっと上の位階(ランク)を目指す。そして、誰もアタシに逆らえんようになった上で……―――低位階(ローランク)で苦労してる奴らの力になってやりたい」

「……!」

思わぬ言葉に驚き、その横顔を見つめていると、彼女はこちらを向いて照れくさそうに笑った。

「まだ、野望とまで言えるほどのもんやないですけどね。単なる思いつき。……でも、低位階(ローランク)の苦労をわかってやれんアタシにできることって、そんくらいしかないかなって」

……確かにコイツは、かなりの戦闘狂で、自信家で、なかなかイカレたところもあるかもしれない。

けど……決して、傲慢なだけの悪魔じゃないんだ。

自分が上に立てる存在だと自負した上で、下の者のこともちゃんと考えてやれる……そういう立派な優しさを持ってんだな。

「……うん、めちゃくちゃ良いと思う。いっそ野望にしちゃってもいいくらい」

「あはっ、そう言ってもらえると自信持てますわ!」

そっか……彼女なりに、不安だったんだな。この夢を抱くことが。

その不安を少しでも拭えたってんなら、俺の務めは果たせたってことかね。

「話聞いてもらってありがとうございます! おかげでスッキリしました!……これで、アタシと殺り合ってくれますか?」

ベンチから立ち上がって挑発的にほくそ笑んだ彼女に、俺も口角を上げて腰を上げる。

「……お〜う。お望みとあらば、殺ってやんよ」

「んっふふ……そうこなくっちゃ♪」


その後俺たちは中庭で、遊び感覚の殺し合いを始めた。

まぁすぐに彼女の担任に見つかって、2人まとめて説教くらったんだけどな〜。ブルシェンコ先生マジ怖かった。←

第152話🦇姿の見えないあの子→←第150話🦇一瞬の攻防を経て



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空文 晴霧(プロフ) - くろほたるさん» こちらこそ素敵な感想ありがとうございます!! そうなんです、一方的じゃなくて互いに大きな存在となってるんですよ…!!! そう言っていただけると、頑張ってオリジナルストーリーを書き上げた甲斐があります(*´ ˘ `*) (5月21日 7時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
くろほたる(プロフ) - お互いがお互いを無意識に救いあっている💣🪞がなにより愛おしいです!!!!この絡みでオリジナルストーリーを作って頂き本当にありがとうございます…!!!! (5月21日 6時) (レス) id: 917d162833 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 暁さん» 私もそう思いながら書きました…!!! 喜んでいただけて何よりです!! (2023年3月30日 21時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
- オうふっ...ゾムさんとの絡みてえてえ...っ! (2023年3月30日 13時) (レス) @page20 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - すずねこさん» かわいいですよね…!!!(激しく同意) (2022年11月26日 16時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年7月18日 13時

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