【魔主役】鏡使いの悪魔学校生活:VOL.18【魔入間】

第837話🦇娘のワガママ ページ28

*ミラ side*

自室に籠(こも)って、いろいろ考えた。

自分の欲望に正直になるならば、アタシはまだ当主の座につきたくない。

……でも、母さんをこれ以上苦しめたいわけでもないねん。

あの悪魔(ヒト)がアタシを愛してくれとるのはわかってるし、別に嫌いなわけやない。

ただ……当主の座につくと同時に失うモノが多すぎる(・・・・・・・・・)のが、ヘドが出るほど嫌なんや。

いずれその時が来ることは、覚悟できている。それでも……まだ、入学1年目やで？ こんな短いとは思ってへんかったわ。

……いや、でも。やっぱり、母さんに無理させるわけにはいかんよな……。あの悪魔(ヒト)、絶対自分よりアタシのこと優先させるんやから。

わかってしまうんよなぁ。……だって、親子やもん。

ただ……今すぐに継ぐ、ってのはさすがに無理。せやから、アタシが出した結論は―――。



ー＊ー＊ー＊ー



「当主の座は、継ぎます。ただし……音楽祭が終わるまでは、待ってほしい」


広間に戻ってそう宣言すると、母さんもコラソンも驚いたように目を見開いた。

「ほ、本当に…よろしいので……？」

「なんやコラソン、散々継げ継げ言うたんはお前やろが」

ギロリと睨んでコラソンを威圧するアタシに、母さんが問いかけてくる。

「……なぜ、音楽祭が終わるまでなのですか？」

「……………約束、したんや」



『―――音楽祭では、正々堂々戦おう』



彼との約束を果たして、みんなと最後の思い出を作って……それで、全部終わりにしよう。

「カワイイ娘のワガママ……ダメとは言わさへんぞ、母さん」

強がって笑って見せるアタシを前に……母は顔を伏(ふ)せ、静かに涙を流すのだった―――。

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