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第624話🦇初めて向けられた“欲” ページ4

*ショッピ side*

「あッ、ショッピせんぱーい!!」

チーノの例の暴露講演会を聴きに行こうと廊下を歩いていると、聞き慣れた声が後ろからやって来た。

「どうも、ミラさん。やけに元気ですね?」

「んふふっ、ちょっとええことありまして♪ そんなことより先輩ッ、チーノ先輩の件聞きましたか?」

そう言いながら彼女は、例のビラを差し出してくる。

「ええ。シャオロンさんたち、もうカンカンに怒ってましたよ。なんでも、チーノを講演前に説得するとか言うて先に行きましたけど……」

「あー、アイツららしいですなぁw」

楽しそうに笑うミラさんを見て、俺はやはり不思議に思ってしまう。

「……ここ最近元気無いように見えてましたけど、なんか急に上機嫌になりましたね。いったいどういう心境の変化で?」

「ありゃ、見抜かれてたんですか。さすが、アタシのことよう見てはりますなぁ?」

ニヤニヤとほくそ笑む彼女に、「当然でしょ」と至極自然に返してやる。

「まぁ、チーノ先輩のことについていろいろ思うことがありまして……けど、ようやく吹っ切れましたわ。自分の“本当に好きなモノ”が何か、やっとわかったんです」

そう言ったミラさんは、自身の手にあるチーノのビラを見つめて口角を上げた。

「アタシが好きなのは我々師団(バトラ)そのものではなく、団員のみんなです。誰でもいいわけやない。今の7人だからこそ、アタシは大好きになれた。チーノ先輩も、そんな“大好き”の内の1人や。だからこそ……そう簡単に、手放すわけにはいかんのですよ」

彼女のその表情は、この俺でも初めて目にするもので。

今まで、俺たちが一方的に欲してきた彼女が……今まさに、俺たちを欲する(・・・・・・・)顔をしている。

その事実がどうしようもなく嬉しくて、自然と高揚してしまう。

「絶対絶対、逃がさへんよ? チーノ先輩も……もちろん、アナタもね♡」

欲にまみれたその瞳に見据えられるのがひどく心地良くて、俺は恍惚とした笑みを浮かべてゆっくりと頷き……彼女の“欲”を、受け入れるのだった。

第625話🦇詐欺師の演説→←第623話🦇逆転の先にある“答え”



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空文 晴霧(プロフ) - 暁さん» およよ??( ^ω^ ) (7月17日 14時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
- およ?ジョニーパイセン??? (7月17日 14時) (レス) @page12 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - AYMさん» ありがとうございますー!! 察していただけて嬉しいです(*´▽`*) マイペースに書き進めていきますので、どうぞよろしくお願いします! (2023年1月2日 17時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
AYM - 14作目(続編)おめでとうございます!!本当、マジで大好きですッ!!前回の後書きで書いてあったオリオンさんのやつは本とかなんやらでなんとなくあれ、emさんでは?となっていました!(笑)無理せず更新頑張ってください!! (2023年1月2日 16時) (レス) id: 48240d13f1 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 白黒ぐも。さん» こちらこそ、コメントしていただきありがとうございます! 引き続き楽しんでってください(*´∀`*) (2023年1月2日 9時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2023年1月1日 19時

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