【魔主役】鏡使いの悪魔学校生活:VOL.14【魔入間】

第638話🦇欲しい言葉 ページ18

*チーノ side*

薄暗くなった空をミラさんと並んで飛んでいる最中、おもむろに彼女は口を開いた。

「位階(ランク)低い悪魔は、醜(みにく)く汚く生きていく……でしたっけ」

「え……！」

俺が例の暴露講演会の最後に新･我々師団(バトラ)に向かって吐き捨てたセリフを、ミラさんは思い出すように口にした。

「高位階(ハイランク)のアタシがこんなこと言うても嫌味にしか聞こえんかもしれませんけど……あん時のチーノ先輩、めっちゃかっこよかったですよ。ホンマに」

そう微笑みかけられ、俺は無性に嬉しくなってしまう。

「い、嫌味なんて思いませんよ！ だって……アナタは誰よりも素直で、素敵な悪魔(ヒト)なんですから」

「！……んふっ、それなら良かったです」

満足気に笑い、ミラさんは前を向いて続ける。

「アタシ、やっぱりアナタのこと好きですわ」

「えッ、それって……！！」

「だって、めっちゃおもろいですもん！ もちろん、他のみんなもやけど♪」

ニッコリと無慈悲に告げた彼女に、「で、ですよね……」とガックリと肩を落とす。

わかってる……そう簡単に、この悪魔(ヒト)を落とせるなんて思ってない。

けど……少なくとも今は、この“好き”だけで充分。

もちろんいずれは、別の意味の“好き”をもらうつもりやけど。


「……覚悟しててくださいね」


楽しげに飛ぶ彼女には聞かれぬよう、俺はこっそりとほくそ笑んでそう呟くのだった。

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