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「廉･･･今からでも遅くないだろ？･･･俺はまだ廉の事が･･･。」
グラスを傾けて俺を見つめながら廉がそんな事を言い出すから。
少し酔った俺はついついその気になってしまって。
だって俺はずっとそう考えていたんだ。
あの時諦めずに、俺も廉に告白していたら。
紫耀よりも先に、廉に告白していたら。
そうしたら今頃何か･･･変わっていたんだろうか･･･？
「ごめんな？優太･･･あかんのよ･･･あかんの･･･俺はまだ･･･紫耀の事･･･別れても･･･これからもずっと･･･俺は紫耀の事が･･･。」
自分から別れを切り出したくせに、それなのに紫耀の事を忘れられないと言うんだ。
「何で･･･何でだよ？だって、紫耀と別れたんだろ？だったら、紫耀の事は忘れろよ！あいつの事なんか忘れて、新しい恋をすれば良いじゃんか！俺と･･･俺と新しい恋を始めれば良いじゃんか！俺が絶対にお前の事を幸せにしてやるから！だから俺と･･･！」
少し酒も入って、気持ちが高揚してきて口調が強くなってしまう。
どうしても廉が欲しくて。
どうしても廉を俺のものにしたくて。
「ありがとな？優太･･･でも･･･俺はもう･･･あかんのよ･･･あかんの･･･もう誰も好きになったり出来んの･･･これからもずっと･･･紫耀以外は誰も･･･。」
こんなに一途にずっと紫耀の事を想っても、裏切られて傷付いて来たのに。
「廉･･･何でだよ･･･何でお前はそんな･･･。」
寂しげに、悲しげに瞳を揺らして。
そんな弱ってる姿を俺になんか見せちゃ駄目だろ。
止まらなくなっちゃうじゃんか。
弱ってるお前に付け込みたくなるじゃんか。
「はあっ･･･ほんま、あいつは酷い奴やわ。狡いよな？最後にあんな･･･。」
「そうだな･･･。」
ああ、そうか･･･お前はまだ･･･。
きっと廉は･･･また許してしまうんだろう。
別れてなんて自分で言っておきながら、やっぱり紫耀を切り捨てる事は出来ないんだ。
もし、紫耀がほんとに変わる事が出来たなら。
廉はきっと、また紫耀と･･･。
結局、どうやったって廉は紫耀と離れられないんだ。
そして俺も･･･。
それでも、廉の傍から離れる事が出来ないんだ。
ずっと廉を諦める事が出来ないまま･･･俺は･･･。
「廉？」
隣に座っている廉が俺の方に凭れ掛かってきた。
それだけで俺の心臓は跳ね上がって。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2022年4月20日 0時
