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「俺、優太の言葉聞いてて･･･それで、やっと決心出来たんよ。もう終わりにしようって。」
「廉･･･。」
一口グラスを口にした後、静かに廉が語り出す。
俺達はあの後、そのまま帰る気になれず、二人で静かなバーにやって来た。
廉が時々来る店らしい。
廉の趣味に合うようなお洒落な雰囲気のバーだった。
他の客に会わないように仕切られたボックス席で、ソファに二人並んで座って、ハイボールなんか頼んで。
俺はあんまり酒に強くは無いんだけど、今日は何だか飲みたい気分だったから同じものを頼んで、廉に付き合う事にした。
「俺、頑張ったんよ？めちゃめちゃ頑張ったの。でも、もう･･･疲れてもうたの･･･もう･･･頑張れんの･･･。」
「うん･･･。」
廉が琥珀色の浸るグラスを揺らしながら語る言葉を静かに聞いてやる。
「はあっ･･･何で･･･紫耀の事なんか好きになってもうたんやろ･･･。」
「･･･。」
廉が紫耀と付き合う事になったって報告してきた時の嬉しそうな顔とは今は正反対で。
「初めから･･･優太の事を好きになれば良かった･･･せやったら･･･今頃こんな風に･･･辛い思いなんかせんでも良かったかもしれんのに･･･優太にいっぱい愛されて･･･ずっと幸せなままやったかもしれんのに･･･。」
そう言って、チラリと俺を見る目は色っぽくてドキリとした。
《グループ内恋愛禁止》
そのルールを破って付き合う事になった紫耀と廉。
他のメンバーは二人の事を祝福してたけど、俺は許す事が出来なかった。
だって、その頃には俺はもう廉の事が好きだったから。
ルール作った張本人なのに、自分でそれを破りそうになって。
でも、俺よりも先に紫耀がそれを破ってしまった。
紫耀が廉に告白したんだ。
元々紫耀の事が好きだったから、廉は勿論OKして。
そして、恋人になった事を俺達に二人で報告してきて。
皆には迷惑掛けないからと言って。
でも、俺が中々許さないから、廉が悲しそうになって。
だから俺は渋々許してやったんだ。
その時の嬉しそうな廉の顔を今でも忘れられない。
廉が選んだのは俺じゃ無かったけど、それでも、廉が幸せになれるのなら。
俺はそう自分を無理矢理納得させたんだ。
それなのに･･･こんな事になってしまって･･･。
やっぱりあの時、俺は許すべきじゃ無かったんだろうか。
俺が二人の事を許さなかったら、恋人にならずに、廉は今頃こんな風に辛い思いをしていなかったんじゃ･･･。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2022年4月20日 0時
